城北法律事務所 ニュース No.53(2006.1.1)

目次

おかげさまで創立40周年
諸問題が山積みで今年も忙しくなりそうです

弁護士 小林 幹治

おかげさまで昨年事務所は創立40周年を迎え、11月に憲法集会を企画しましたが、皆様のご支援をいただきありがとうございました。

私は4月末に体調をくずしてご心配をおかけしましたが、無事新年を迎えることができました。

地球温暖化の影響で、昨年も大地震やハリケーンなど自然災害が多発しました。国内では、昨年秋から耐震強度の偽装問題が発生し、大きな社会問題になっています。鉄筋の量をもっと減らせ、それでも建築確認はおりる。呆れているだけではすまされません。念のためわが家(低層マンション)の検査済証も調べてみました。

ところがいま国土交通省が立ち入り検査を開始した「日本ERI」が検査済証をだしていることが判りました。

1998年の建築基準法の「改正」により、民間会社に建築確認をゆだねる(丸投げ)ことになりましたが、このようなずさんな検査で建築確認がおろされているとは思いませんでした。 わが家は大丈夫なのか、各自も早速調査を開始しなければならないでしょう。
政府は憲法「改正」の国民投票法案も、今年は上程すると言っていますし、忙しくなりそうです。

皆様、本年もよろしくお願いいたします。


急性腰痛症は公務災害
働く者の命と健康を守るためにこれからも尽力します

弁護士 上野 格

昨年11月24日、東京地裁は志村眞理子さんが罹患した急性腰痛症が公務災害だと認定する判決を下しました。印象深い勝訴判決だったので紹介します。

志村さんは発症時、板橋区の給食調理員として小学校に勤務していました。給食調理員は、大量の給食を間違いなく時間内につくるというハードな職業です。志村さんは、急いで20のタマネギの入ったザルを手で持ち上げて調理台の脇をすり抜けねばならず、その時、急性腰痛症(いわゆるギックリ腰)になりました。激痛で身動きが取れず、3か月の自宅療養が必要となりました。

志村さんが公務による災害であるとして治療費などの補償を求めたところ、補償金を支払う公務災害基金東京支部(支部長石原慎太郎)は公務災害と認定せず、補償金を支払いませんでした。そこで志村さんは不支給処分の取消を求めて裁判を提起したのです。基金は「腰痛の原因は志村さんの腰の持病」という医師の意見書を4通も提出しましたが、これらの意見書は医学的・科学的な根拠のないでっち上げでしたから、裁判所は全く取り上げず志村さんの主張を認めたのでした。

理由もなく補償金の支払を拒んでいた基金は率直に反省すべきです。働く者の命と健康が守られる職場になるよう、これからも力を尽くしたいと思います。