城北法律事務所 ニュース No.62(2010.8.1)

今後も自分なりにがんばりたい

弁護士 工藤裕之
1991年弁護士登録
主な事件:相続,賃貸借(賃貸人側・賃借人側)など

民事事件、刑事事件とも数多く担当してきましたが、今まで担当した事件で、特に印象に残っているのは、無罪になった痴漢冤罪の2件の刑事事件です。

1件は、1審が有罪で実刑、2審で1審の有罪判決が破棄されて無罪になり、最高裁に上告されず確定しました。もう1件は、1審で無罪になりそのまま確定しました。

これらの事件は、いずれも被害者の証人尋問が終わるまで保釈されず、長期間の身体拘束が継続されていて、当事者、家族の苦しみがきわめて大きいものでした。弁護人としても非常に悩んだ事件でした。

また、事件活動ではありませんが、2006年1月から2009年4月まで、最高裁判所に設置されている司法研修所において、司法試験に合格した司法修習生に対して刑事弁護の教鞭をとる、刑事弁護教官を務めたことが印象に残っています。

法曹養成の最終段階とも言える司法修習生に対して教鞭をとったことは、得がたい経験でした。

今後も、自分なりにがんばっていきたいと思っています。


みなさまに支えられて

弁護士 小林幹治
1967年弁護士登録
主な事件:民事事件、家事事件

事務所も創立45年を迎えることができました。ひとえに先輩諸先生が礎を築いてくださり、地域の方々のご支援をいただいてきたおかげと感謝しています。所員も40名近くになり、地域にも根を張ったゆるぎないものになれたと考えています。

私は昨年入院した以後、仕事もセーブした結果時間もできましたので、今までできなかったことをしたいと思いました。それは皇国史観で育ってきた私はまともな日本の歴史も知りません。そこで「知の巨人」と言われている加藤周一さんの「日本文学史序説」を読み始めました。

私はそれまで新聞に連載された「夕陽妄語」を、発表されるのを待って読んでいる程度でした。加藤さんの著作なら文学史といっても、歴史書でもあるのではないかと思ったからです。

しかし予想をはるかに越えていました。十七条憲法・懐風藻にはじまり、記紀・万葉の時代から現代まで、洋の東西を問わず、縦横無尽に引照される文献は、私が名前すら知らないものの方がはるかに多く、辞書と首っ引きですが、この「序説」を執筆されるまでに、どれだけの蓄積をされていたのか、膨大な資料に言いようのない衝撃を受けました。

大江さん、井上さんたちと立ち上げられた九条の会の根底には、日本文化に対する限りない愛着があったのかと感じています。


弁護士3年を振り返って

弁護士 嶋田彰浩
2007年弁護士登録
主な事件:親族・相続、不動産、債務整理、損害賠償、労働等
弁護団事件:薬害肝炎弁護団

2007年9月に弁護士登録をしてあっという間に3年が経ちました。

一時期「自己責任論」がもてはやされましたが、人の努力や責任とは関係のないところで、その人の「環境」が悪化してしまうことは少なくありません。この3年間、私は依頼者の方の「環境」を改善するお手伝いができればという思いで、業務を行ってきました。

病気や不景気などのために多重債務を抱えどうしようもなくなり相談に来られた方、職場でパワハラやセクハラ被害を受けた方、工事に難癖を付けられ代金を支払ってもらえず困っている方、親族間で相続を巡って理不尽な要求をされている方、薬害肝炎訴訟では血液製剤によってC型肝炎に感染し病気を抱えて苦しんでいる被害者の方、などなど。

私の力不足もあり、どれも100%の解決ができたとは言えません。それでも、事件が終了して、依頼者の方から笑顔を見せられたりすると、少しは「環境」改善のお手伝いができたかなあと嬉しく思ったりもします。 

今後も、できる限りみなさまの「環境」の改善のお手伝いに励むとともに、ちょっとしたことでも気軽に相談していただけるような「敷居の低い」弁護士でありたいと思います。


夢中だった5年間

弁護士 白鳥玲子
2005年弁護士登録
主な事件:相続、離婚、成年後見、交通事故、不動産、労働、入管業務
弁護団事件:ビルマ難民弁護団、薬害イレッサ訴訟弁護団

早いもので、弁護士になってから、丸5年になろうとしています。この5年は夢中で仕事をしてきました。

弁護士登録以来、ビルマ(ミャンマー)からの難民を支援するビルマ難民支援弁護団の一員として、難民事件に取り組んできました。

サフラン革命(2007年の僧侶によるデモに端を発した反政府デモ)の最中に、日本人カメラマンの死という悲劇が生じ、日本でも大きく報道されました。しかし、その後もビルマ政府の姿勢は変わらず、難民の流出は止まりません。来日したビルマ出身者は「日本はアジアの先進国。憧れの国です」と言います。

残念ながら、来日後には、日本の外国人に対する政策に失望することも少なくないようです。彼らの話を聞くたびに、普段は考えることのない、自由や権利、国家のあり方について考えさせられます。

最近は、元依頼者の方々から、近況をお知らせいただくことが増え、この仕事に就いた幸せを再認識しております。

次の5年は、これまでの経験を生かしつつ、更なる研鑽に努め、依頼者のみなさまに充実した法的サービスが提供できるよう、ますますがんばっていきたいと思います。