城北法律事務所 ニュース No.63(2011.1.1)


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法律相談
遺言は遺した方がよいでしょうか。

Q  特に財産があるわけではないのですが、遺言を書いておいた方がよいと言われました。なぜ遺言を書いておいた方がよいのでしょうか。また、妻に全財産を相続させようと思っているのですが、遺言をすれば必ず遺言通りになるのでしょうか。また、遺言にもいろいろ種類があると聞きました。どの方式の遺言がよいのでしょうか。

遺言書の作成をおすすめします。
弁護士 嶋田彰浩

A  まず、遺言がない場合、法定相続分に従って相続されます。したがって、法定相続分に従いたくない場合や法定相続人以外の人(例えば内縁の妻)に相続させたい場合には、遺言をする必要があります。そして、実際には、財産がそれほどなくても相続争いになる場合は少なくありませんし、生前は仲が良くても死後遺産をめぐって争いになる場合もあります。

一方で相続人は、通常被相続人の意思を尊重したいと思っていることが多いので、きちんとした遺言書を作っておくことは死後の紛争の予防につながります。また、まだ元気だからといって遺言を作成しない方もいらっしゃいますが、死に直面してからでは適法な遺言を作成することが難しくなったり、冷静な判断ができないこともあります。遺言は何回でも書き換えられますので、元気なうちから遺言をすることをおすすめします。

次に、遺言をした場合、原則として、遺言の内容通りに相続されることになるのですが、一方で遺留分という制度があります。

これは、一定の法定相続人については、その生活保障のため、一定割合(基本的には法定相続分の2分の1)の相続財産を留保しようというものです。そして、遺留分を侵害された人が遺留分減殺請求をした場合、必ずしも遺言の内容通りに相続されないことになります。もっとも、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、たとえば子どもがいなくて、ご両親も亡くなっている場合、配偶者に全財産を相続させる旨の遺言をしておけば、兄弟姉妹が相続することはできなくなりますので、遺言が非常に効果的になります。

最後に、遺言の方式ですが、基本的に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自分で書いて、これに印鑑を押す必要があります。たとえば、ワープロで作成しては効力を生じません。また、遺言書が偽造されたなどと、死後その遺言書の効力が争いになることもあります。

ですので、費用と手間はかかりますが、死後の紛争を予防する意味でも、遺言の中身やその文言については、専門家に相談した上で、公正証書遺言を作成することをおすすめします。