城北法律事務所 ニュース No.67(2013.1.1)


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目次

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出張のついでに… こんぴらさんに行ってきました

弁護士 白鳥 玲子

ご依頼者の方に地方出張のお話をすると、「弁護士さんにも出張があるのですね!」と驚かれてしまうのですが(「どおりで電話かけてもいないことが多いはずだわ」という心の声も時々聞こえます。ごめんなさい・・)、裁判所にも「管轄」という名の縄張りがあり、遠くの裁判所での案件のご依頼やら、会議や研究会やらで、東京以外の土地に行くこともあります。そんなこんなで昨年もいろいろな所に行くことがあり、ついでに日本各地の名所に立ち寄る機会に恵まれました。

昨年10月には香川県のこんぴらさん(金刀比羅宮)に行きました。神社のお参りだからと気楽にかまえていたのですが、山の上にあり、本殿まで785段(奥社までだと1368段)もの階段を登らねばならないのでした。登ると讃岐平野とその先の瀬戸内海が一望でき、気分爽快。こんぴらさんは、インドのヒンズー教の神様「クンビーラ」の漢語(中国語)訳が起源なのだそうで、長い時間をかけて遠くからやってきて日本に根付いたものなのだと知り、感激もひとしおでした。

今年もたくさんの思いがけないものや人に出会え、思い出深い一年となりますように。


戦争が終わって67年 9条を守る勢力を広げたい

弁護士 小林 幹治

核を持たなければ一人前ではないとばかりに「集団的自衛権」、「国防軍」などという言葉が公然と言われ始めました。「政権公約」として憲法「改正」が真正面に出され、憲法9条がこれほど危ないと感じられることはありません。

あの戦争が終わって67年です。軍国少年だった私は茫然自失した(しかし生きていると感じて)日を忘れることはできません。空襲で死んだ友人もいるし、志願して予科練など軍へ入った者も、戦争があと1年も続いたら皆特攻隊で死んでいったでしょう。

勤労動員されていた軍需工場で、操縦士の顔もくっきり見えるような超低空のグラマン(米軍の艦載機)に機銃掃射されて逃げまどったことも再三です。

私などは戦争のほんの一端を経験しただけですが、いま自衛隊はもう軍隊なのだから、名前を変えるだけなどと言っているのは、ほとんどあの戦争を知らない連中でしょう。

その「国防軍」が、安保条約のもと、どこで、誰と、何のために闘うというのでしょう。

昨年、敬愛する友人から「孫たちへの証言 第25集」という冊子を贈っていただきました。これだけは何としても書き残したいという、国内外での戦争体験を広く募集して編集されたものです。

あの戦争がどういうものであったのか、9条は押し付けられたものではないと、つくづく思われます。


ライブドア  ライブドア株主被害集団訴訟で完全勝利!

弁護士 大川原 栄

東京高裁第9民事部は、一昨年11月30日、東京地裁判決(請求の30%認容)を大幅に変更する逆転全面勝訴判決(請求の95%認容)を言渡しました。そして、昨年7月18日、最高裁判所第一小法廷における期日で、被告側が原告の請求を認諾することを陳述した結果、この訴訟は原告の完全勝利で確定しました。

平成18年1月、東京地検特捜部が「六本木ヒルズ」のライブドア本社に強制捜査に乗り出したことにより本件が発覚し、その後の過程で多くの個人投資家が甚大な損害を被りました。その時代は、いまだ株式被害についての「自己責任論」が主流であり、多くの個人投資家は被害者でありながら周囲から冷たい好奇の目で見られていました。しかし、本件発覚後もIHIやオリンパスなどの上場会社での粉飾決算を含むコンプライアンス違反などが明らかになり、今や粉飾決算などによる株価下落被害は「自己責任論」の射程外であることが定着しております。

高裁判決と最高裁における「請求の認諾」を笑顔で受け入れた被害原告の顔を思い浮かべながら、この事件に関われて心から良かったと思っております。ライブドアと同様の証券被害事件である私が弁護団代表を務めているIHI粉飾事件においても、上場会社のコンプライアンス違反を徹底的に追及したいと考えております。


秘密保全法  隠す者には嘘がある

弁護士 田見 高秀

昨年11月22日、特定非営利法人情報公開市民センターが原告となって、秘密保全法の法案準備状況についての政府内協議に関する文書を公開するよう国に求める情報公開法に基づく裁判を名古屋地方裁判所に提訴しています。

総選挙投票日後の12月27日に第1回口頭弁論です。センターは、3月に文書公開請求をしましたが、請求を受けた内閣情報官が、請求された文書を非公開として請求に応じなかったため、裁判所に非公開決定の取り消し、つまり文書公開の命令をすることを求めて今回の裁判となっています。

紙幅が少ないため、検討されている「秘密保全法」の中身を詳しくは紹介できませんが、「①国の安全、②外交、③公共の安全及び秩序の維持の3分野の情報のうち、厳格な保全措置の対象とする特に秘匿を要する情報を特別秘密とし、情報公開の対象から外す」「特別秘密の漏洩は最高10年の処罰」「特別秘密を扱う者は特別な身辺調査をする」などが盛り込まれています。民主主義の基盤になる政府情報への国民のアクセス権を絞め殺す稀代の悪法です。

隠す者には嘘がある-秘密保全法断固阻止の行動を起こしていく必要があると思います。