城北法律事務所 ニュース No.66(2012.8.1)

新しい所員を紹介します

陸自レンジャー訓練反対運動と給費制存続運動

弁護士 種田和敏(たねだ かずとし)

今年の1月に城北事務所に入所しました。まだ弁護士になってから数か月ですが、通常業務の他に、主に以下の2点に取り組んできました。

1つ目は、陸自レンジャー訓練反対運動です。

陸上自衛隊は、6月12日、板橋区・練馬区の市街地において、白昼堂々、顔に迷彩ペイントを施し、小銃・銃剣を携行したレンジャー訓練生17名の「行軍」訓練を強行しました。訓練の様子はテレビや新聞で大々的に報道されたので、ご存じの方も多いかと思います。報道のきっかけとなったのは、住民が東京地方裁判所に申立てた訓練禁止を求める「仮処分」でした。私は、その仮処分に住民側代理人として関わりました。自衛隊の説明を聞き「わが街」で大変なことが行われようとしていることに驚き、住民の皆さんが先行して盛り上げていた運動の中で、弁護士として何ができるかを新人ながら考えた結果が仮処分でした。

仮処分は結果的に却下され、訓練が実施されたことは残念ですが、申立てたことにより、マスコミに取り上げられ、安全対策が強化されるなど訓練内容も変更されるなど一定の成果がありました。自衛隊は今回と同様の訓練を今後も継続する予定であることを明言していますので、これからも住民の皆さんと共に頑張りたいと思います。

2つ目は、給費制存続運動です。

「給費制」は、司法試験に合格した後で裁判官、検察官、弁護士になる前に1年間の司法修習を行う修習生に対して国から毎月20万円が支給される制度でした。しかし、昨年の11月に給費制は廃止され、1年間で約300万円の借金を強制する「貸与制」が施行されました。そもそも司法修習前に法科大学院の学費負担のために約6割の人が350万円超の借金を背負っているのに加えて、84%の人が貸与を受けています。そうすると、これからの法律家は、そのスタート時点で既に多重債務者となることが運命づけられているのです。現在の法曹養成制度にはさまざまな問題がありますが、給費制復活は切実な課題といえます。

私は、日本弁護士連合会の委員や若手団体のビギナーズ・ネットの事務局次長として、市民のための法律家を育てるために給費制復活を目指して奮闘したいと思います。


よろしくお願いします

弁護士 舩尾 遼(ふなお りょう)

本年度の1月より、城北法律事務所に入所しました、舩尾遼と申します。出身は神奈川県で、司法修習は仙台です。


私は、日本の大部分を占める労働者の生活向上をめざして弁護士を志しました。これは、ビルのメンテナンスなどのアルバイトや日雇い労働を通じて、先の見えない非正規労働者の生活をどうにか改善できないかという考えから生じた思いでした。

現在は、JMIUのオリエンタルモーター支部や集塵装置支部などで弁護団活動を行いながら、労働問題に積極的に取り組んでいます。


また、私は福島の原発弁護団にも所属しています。私は、司法修習中に仙台で東日本大震災に遭いましたが、この国の災害に対する態度はどこまでも自己責任、自己負担を押し付けるものであることに憤りを感じました。国民が健康で文化的な生活を営む権利を有することは憲法25条が保証するところですし、憲法13条が幸福追求権を保証することから、被災した国民が国に対して保証を求める権利があることは当然のことだと思います。

特に、原発事故による被災の責任は、原発政策を推し進めた国と東京電力にあることは明らかです。現在、原発弁護団において、国と東京電力の責任を追及できる訴訟の提起を検討しています。

ほかにも、全国B型肝炎訴訟弁護団や構造改革問題などに取り組みながら、弁護士として積極的に活動しています。


このように、弁護団活動なども多く行っていますが、一般的な事件も数多く行っております。刑事事件から、一般民事事件・具体的には借地借家、境界問題、相続問題、親族・相続問題など幅広い業務を受けさせていただいております。

弁護団の業務であれ、一般的な業務であれ、民主的な地域事務所の一員として、私は市民の方々が今よりも幸福で、より良い生活を送ることができるような社会を目指し努力していきたいと考えています。


まだまだ未熟な若輩者ですが、職責を果たせるよう、活動の幅を狭めることなく精いっぱい精進する所存です。
よろしくお願い申し上げます。