城北法律事務所 ニュース No.75(2017.1.1)


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B型肝炎訴訟
重症者の医療費助成とB肝新薬の実現をめざして

弁護士 小沢年樹

【肝硬変・肝がん医療費助成の実現へ向けて】

昨年6月の通常国会では、私たち全国B型肝炎訴訟原告団のほか、日本肝臓病患者団体協議会、薬害肝炎全国原告団の患者3団体が取り組んだ「肝硬変・肝がん患者に対する医療費助成の実現」などを求める請願が衆参両院で採択されました。請願採択を受け、厚生労働省は現在、肝炎患者の医療や治療費実態の全国データを調査しており、今年度は調査結果に基づいて医療費助成を含む重症者支援のあり方について検討を本格化します。署名などでご支援いただいた皆さまのお力を得て、肝硬変・肝がん医療費助成制度の実現まであと一歩のところまで来ています。ひきつづき、ご理解・ご支援をよろしくお願いします。

【B型肝炎も新薬の開発が進んでいます】

テレビコマーシャルなどで、「C型肝炎は飲み薬で治る時代です」と盛んに伝えられていますが、B型肝炎についても、根本的な治療薬の開発が進んでいます。この流れは、私たちが6年前に国と裁判の基本合意を結んだ際、当時の菅首相から「『不治の病』といわれてきたB型肝炎を治す新薬を開発します」との約束をかちとったことから始まりました。多くの研究機関が国の予算を活用しながら遺伝子レベルの諸研究に取り組んでおり、1日も早く画期的な新薬が実用化するよう、私たちも注視しています。


国道26号線問題
ハッピーロード大山商店街を守ろう!③

弁護士 湯山花苗

すっかりシリーズ化されました26号線問題です。

私たちは弁護団を結成し、地域の人たちを原告として、2015年8月21日、「都市計画事業の認可処分を取消す」ことを求めて提訴しました。

国及び東京都の主張は、26号線の計画は都市計画に沿った内容であり、全く問題がないとしています。しかし、この都市計画は昭和21年に作られたものです。大山駅周辺についての最終変更は昭和41年であり、そこから手を加えられずに残っていた計画に基づいて事業認可が行われたのです。

特定整備路線26号線を作るためには、昭和21年の都市計画決定、昭和41年の都市計画変更決定、そして平成27年の事業認可がすべて適法でなくてはいけないのですが、昭和21年決定にも、昭和41年決定にも、平成27年事業認可にも、違法があることがわかりました。

私たちは、このことをすでに主張をしていますが、今後より深く追求していきます。

街は生きています。年々変化をしています。それに伴い都市計画も変わらなくてはならないのではないでしょうか。古い都市計画のまま事業認可することが正しいのか、みなさんもぜひ注目してください!


HPV(子宮頸がん)ワクチン薬害訴訟
将来への希望を取り戻すために

弁護士 結城 祐

HPVワクチン薬害訴訟は、平成28年7月27日に全国4カ所で一斉提訴しました。東京訴訟は平成29年2月13日午後3時より東京地裁103号法廷で第1回期日を迎えます。先行している大阪、名古屋、九州の第1回期日では、被害に遭われた女性達の意見陳述がありました。それは、接種後の症状、その症状により学生生活や大学への進学を諦めざるをえなくなったということを陳述するもので、弁護団や傍聴人は一様に涙を流さずにはいられないというものでした。

私が担当する被害者も、接種後、次々と激しい頭痛、疼痛、不随意運動、脱力、不眠・過眠、知的障害、記憶障害等といった症状が、時には同時に現出することにより、ほとんど学校に通うことが出来なくなり、思い描いていた楽しいはずの学生生活を諦め、中には中退した方もおり、また進学という将来の夢を奪われたという方も大勢います。

それでも、毎日とても辛いながらも必死に登校している方、あるいは失われる記憶と毎日たたかいながら進学のため勉強を続けている方、健康な時の身体に戻りたい、自分の人生を歩んでいきたいと、将来への希望を涙ながらに語って下さる方がいます。この裁判では、被害者自身の将来のため、被告から金銭賠償を獲得するだけではなく、被害の回復が必要不可欠です。ぜひ第1回期日の裁判傍聴という形でご支援いただければ幸いです。


原発問題
原発事故は収束しておらず被害はまだ続いています

弁護士 阿部哲二

福島第一原発事故により住みなれた故郷から避難した人達が、東京電力・国を訴えた損害賠償請求の裁判がいよいよ山場を迎えています。全国で10000人以上の避難者が各地で20件以上の集団訴訟を起こして闘っています。

私が弁護団に参加している東京地方裁判所の裁判でも、昨秋から原告本人尋問が始まりました。爆発事故が起きたと聞き、放射能から子どもを守ろうと必死の思いで福島を逃れた母子の姿が法廷で涙ながらに語られました。もう福島に戻っても良いのではないかという国や東電からの反対尋問に、原発事故以前の自然の放射線量に戻っていないのでは故郷に帰りたくても帰れないという訴えがありました。お金を貰えて避難できていいわね、と言われ続けた苦しみも語られています。

この春からは、前橋地方裁判所での判決を皮切りに、判決言い渡しが続くことが予想されます。原発被害の全体的な責任ある賠償の枠組みが必要です。そして、賠償金がただ国民負担に転嫁され、原発の再稼働が進められるという誤った方向にならないように、この損害賠償裁判の意義が一人でも多くの人達に伝わることを願っています。

私は、この最大の公害であるこの原発被害の訴訟、そして薬害である子宮頸がんワクチン被害訴訟に今年も取り組んでいきます。