城北法律事務所 ニュース No.76(2017.8.1)


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近況報告

HPVワクチン薬害訴訟 予防効果が明らかではないワクチン

弁護士 結城 祐

子宮頸がん発生の主要なリスク因子はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。HPVは粘膜の接触によって感染し、ほとんどが性交渉によって感染します。100種類以上のHPVのうち、発がん性HPVは15種類ほどにすぎません。女性の約50~80%がHPVの感染経験があるとされますが、感染しても90%以上の場合、2年以内に自然排出され、しかも感染したとしても子宮頸がん発症に至るまでは僅か0.15%です。今回問題となっているHPVワクチン(ガーダシルとサーバリックス)は、発がん性HPVのうち16型と18型の感染を予防しようとするものですが、両者合わせて発がん性HPV全体の50%であるため、HPVワクチンが有効な16型・18型に起因する子宮頸がんは0.075%にすぎません。しかも、承認時臨床試験で確認された有効期間はガーダシルで4年、サーバリックスで6.4年である一方、HPV感染から子宮頸がんを発症に至るまで、多くは20~30年を要するとされているので、HPVワクチンが子宮頸がんとの関係でどの程度の予防効果が期待できるのかは未だ明らかではありません。

他方で、HPVワクチンを接種した女性の中には、頭痛、関節痛、脱力、学習障害、記憶障害、月経異常などの多様な副反応症状に悩まされ、進路変更を余儀なくされたり、将来の夢を失ってしまっている方が大勢います。それにもかかわらず、未だ有効な治療法は確立しておりません。

弁護団は、賠償のみならず、医療体制の整備、再発防止等を求めています。裁判傍聴などご支援をお願いします。


26号線④ ハッピーロード大山商店街を守ろう!

弁護士 湯山花苗

特定整備路線補助26号線道路問題は、2015年8月21日、道路事業認可が違法であるとして提訴しました。提訴から約2年経ちますがまだ審理は続きます。

また、東京都が他地域でも同様に道路建設を推し進めていることから、大山地域以外でも提訴をすることになりました。これからは他地域の弁護団との連絡会を作り、訴訟でも運動面でも協力していくことになっています。

26号線道路建設事業は、昭和21年都市計画決定及び昭和41年都市計画変更決定をもとに進められており、当初の都市計画からは約70年以上、変更決定から数えても50年以上経過してから実施されるもので、その間、当然大山駅前は戦後復興から今日までの歴史の中で、商店街を中心に地域住民の生活の拠点として発展してきました。

商店街の活気が損なわれて久しい地域が多い中で、ハッピーロード大山商店街は今もなお賑わい、全国でも有名な商店街となっています。これまでハッピーロード大山商店街では、住民と板橋区が協議して「大山まちづくり総合計画」を策定するなど、丁寧な議論と合意形成のうえで街づくりを進めてきました。今回の道路建設事業は、これまでの商店街内部の討議や手続きを踏みにじるもので絶対に許すわけにはいきません。本件訴訟の原告らは、ハッピーロード大山商店街に誇りと愛着を持ち、これからも利用していきたいと強く願い、強引に事業を進めようとする東京都の姿勢をただすために立ち上がった方々です。切実な思いに、ぜひ耳を傾け応援してください。よろしくお願いします。


原発問題 東電と国の法的責任が断罪されました

弁護士 阿部哲二

2011年3月11日の福島第一原発の事故により、福島県では多くの人が県の内外に避難しました。今、北海道から九州まで全国の裁判所で、東京電力と国の責任を追及する集団訴訟が30件近く原告数で1万4000名前後の人たちによって進められています。

このような訴訟のトップを切って3月に前橋地方裁判所で判決が言い渡されました。この判決では、東電だけでなく国もまた津波の到来が予見できたのに原発事故を回避するための適時適切な措置をとらなかったとして、厳しくその法的責任が断罪されました。原発事故から6年、ようやく法的責任にたどり着いたのです。

9月には、千葉、10月には福島の裁判所でも判決が言い渡されます。来年には東京、京都などの判決も予定されています。東電と国の責任はますます明確になり、もはや法的責任から逃げることはできません。

自然災害に対する復興としてではなく、人災を引き起こした法的責任に基づいて謝罪と償いをし、二度と同じ被害を引き起こさないようにすることが必要です。東電の元会長ら役員に対する刑事裁判もようやく始まりました。事実を認め責任を認めることがないまま、日本では原発の再稼働が進められています。

一方、ドイツでお隣の韓国では原発ゼロに舵がきられています。日本人は責任を徹底して明らかにすることから避けようとする歴史があります。これでは、再び同じことが起きかねません。

引き続き原発訴訟に取り組んで行きます。


第19回池袋派遣村 中池袋公園が使用できなくなります

弁護士 大山勇一

5月16日に第19回目の「池袋派遣村なんでも相談会」を実施しました。スタッフは66人の参加で、法律相談や生活相談、おにぎりやお味噌汁、衣類の提供、血圧測定と健康相談などを行いました。毎回、豊島区の多くの個人、団体に支えられて実施しています。相談者は13人でした。食事や衣類の提供を受けた方は数知れません。

以前は相談者の多くが生活保護を受給する必要がある方で、スタッフが区役所の生活福祉課まで同行するお手伝いをしていましたが、近時、生活保護受給のための相談が減り、申請同行もゼロが続いています。池袋駅周辺の路上生活者数も減ってきましたし、また豊島区役所が移転して相談会場(中池袋公園)から離れてしまったので、相談を必要とする方々まで宣伝の声が届かなくなったのではないかと考えています。

毎回、相談会実施の1週間ほど前の、夜8時ころから9時ころにかけて「夜回り」を行い、路上生活者と話をする機会を設けていますが、次回(11月)には、池袋駅から離れて、JRや東武東上線、西武池袋線の沿線駅を手分けして回って、できるだけ多くの路上生活者と話をする予定です。

いま、かつて豊島区役所があった場所は大型再開発地域に指定され、町の景観が一変しました。相談会場として利用してきた中池袋公園も、ついに夏ころから使用できなくなるそうで、相談場所の代替地を探す必要があります。公園利用に制約が課されることの多い中、多くの人が行き交い気軽に相談が受けられる公園を確保していきます。