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城北法律事務所 ニュース No.54(2006.8.1) | 城北法律事務所

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城北法律事務所 ニュース No.54(2006.8.1)

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身近な法律相談

弁護士 大八木葉子

Q 仕事上のミスで勤め先の会社に損害を与えてしまいました。給与から差し引くと言われています。どうしたらいいでしょうか。
A 会社に損害を生じさせてしまったからといって、当然に賠償しなければならないものでもありません。どのような事情で損害を生じさせてしまったのかを充分に検討し、賠償する必要があるのか、どの範囲で賠償すべきかを判断することになります。また、賠償すべき場合でも、会社が一方的に給与から差し引くことは許されません。

Q 損害を生じさせてしまったら、当然に賠償しなければならないですか?
A 当然に賠償すべきものではありません。(1)あなたが通常求められる注意義務を尽くしていたり、(2)些細な不注意により損害が発生したとしても、そのような損害が日常的に発生するものであれば(飲食店で食器を割ってしまう、釣り銭を多く払いすぎてしまうといった場合)、賠償責任がないとされることが多いのです。他方、あなたに重大な過失や故意がある場合には、賠償する必要があります。
このように、賠償すべきかどうかについては、些細なミスによって損害を生じさせたのか、重大なミスによって生じさせたのかを検討して判断することになります。

Q 賠償すべき場合、損害額全額を賠償しなければならないですか?
A 全額を賠償するわけではありません。
ケースバイケースですが、裁判では一定の割合に限って賠償責任を認めるものが多く、全額の賠償が認められることはまれです。
どの範囲で賠償するかについては、どのような事情で損害を生じさせてしまったのか(あなたの過失がどの程度か、会社側があなたに教育・訓練をしていたか、あなたの労働条件はどうであったか等)を充分に検討して判断することになります。

Q 賠償分を給与から差し引くことは許されるのですか?
A 会社が一方的に給与から賠償分を差し引くことはできません。
あなたは、会社から相殺することに同意を求められても、応じる必要はありません。会社としては、給与を支払った上で、別途、あなたに損害賠償することになります。
他方、あなたの方から、自由な意思に基づき相殺することに同意することはできます。もっとも、上記のとおり、損害責任があるのか、その範囲はどの程度かを充分に検討する必要がありますので、安易に同意することのないようご注意下さい。


サラ金・個人再生奮闘記
おびえているのは取立屋です

弁護士 佐々木芳男

「兄さん 殺し屋です」とAさんの店に電話が入る。取立屋の電話番号が5648で、前に213と付いているので、毎回わざと言うのだ。
Bさんの秋田の父が借りた080金融は、娘さんの東京の会社に電話して来た。父が、娘の会社名を口にしたためだ。客商売の弱みに付け込む手口に、Aさんの新人店員は怯えて退職した。私は励まして本人に地元警察に届けさせ、変身術を授けた。「張本人は姿を出せない」、「自分の住所氏名を明かせないから携帯で脅すだけ」、「その携帯は他人契約のもの。身元割れをおそれているのだ」と。
私は、事務所に取立屋を呼び、非弁行為批判と硬軟織り交ぜた対応の後に、密着して腕を取り「嫌なら一緒に池袋警察に行こう」と捨て身に出た。人間的に、しかし毅然とすると相手は折れる。「弱い犬ほど吠える」が、吠えても法の鎖に繋がれていて、自分こそ素性が割れるのをおびえていたのだ。そもそも携帯金融は無登録で、貸付は違法。借りても詐欺・脅迫の手口の一環だから返す義務の無い犯罪行為だと対処している。本人は借金を恥と逃げるから、騒ぎ立てるのだ。
隣家に神戸から「元金も払わないからぶっ殺してやる!」と電話が入ったというBさんの父に、「近所中が借金を知れば隠すことは無い」と励まし、現に私が、書面交付も無い口座送金貸付の違法を指摘した無店舗金融業者の「もう請求はしませんから、警察に言わないで下さい。080の無登録金融とは違います。彼らは、名乗れないから携帯で脅すだけで恐れることはありません」という話と、上司が「Bは体を壊して退職しました」と突っぱねたことを伝えて、お父さんは強くなった。おびえているのは違法行為をしている取立て屋だと。自立と進展の1歩が自信となってAさんもBさんも変身した。
大手企業営業マンCさんは、立替経費がかさみ200万円のサラ金苦。ついに町金社員の個人プレーの詐欺に遭った。大型店でカード即発行で高級時計を2本買わされ、ブローカーに即買いされ大手サラ金に即売された挙句、貸付枠に満たないと逃げられ負債は倍増して万事休す。しかし、騙されたことは仕方ないと再生委員の理解を得て個人再生の決定にこぎつけ、乳飲み子を抱えた妻と奮闘している。
サラ金苦から離婚し、養育費を10年も滞納して給料差押えが続き、12社500万円のサラ金業者に追われて再婚した妻の発案で来所したCさん。婚姻費用や養育費は破産や再生でも削れないが、15年の取引業者もいて、過払金を5社400万円取戻し、整理が付きそうだ。


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