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城北法律事務所 ニュース No.61(2010.1.1) | 城北法律事務所

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城北法律事務所 ニュース No.61(2010.1.1)

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勝訴判決! そして全面解決♪
リゾートソリューションアスベストじん肺訴訟

弁護士 松田 耕平

ちょうど1年前の事務所ニュースでご紹介させていただいた「リゾートソリューションアスベストじん肺訴訟」。去る平成21年9月14日に高松地裁で原告勝訴の判決が出ました。判決内容は原告29名の内25名について安全配慮義務違反を認めましたが、残る4名は規制すべき時期(昭和33年)よりも前に離職していたため請求棄却となりました。もっとも、請求権が消滅時効(10年)にかかっていた原告2名について、被告側の時効の主張が権利濫用であるとしてこれを認めなかった点は大きく評価できると思います。
判決後は、原告と弁護団、そして支援組合(健交労)が一致団結して控訴断念運動を大展開。被告企業だけでなく、被告企業の大株主である三井不動産本社前(日本橋)、コナミ本社前(六本木)でも抗議運動を行った結果、9月28日、被告側は法的責任を認めた上で原告全員に対する謝罪条項を入れた訴訟外の和解が成立しました。
足かけ3年にわたって繰り広げられた裁判闘争でしたが、解決に至って本当に良かったです。11月17日には地元高松で勝利祝賀会が開かれ、原告の皆さん、支援の皆さんと笑顔で勝利の喜びを分かち合うことができました。 これまでに支援のお声をいただいた皆様にも感謝申し上げます。


公立保育園民営化裁判
民間委託された光が丘第八保育園

弁護士 大八木葉子

昨年10月22日、練馬区光が丘第八保育園の民間委託に関し東京高等裁判所の判決言渡しがありました。
私たちは、東京地方裁判所の判決を不服として控訴し、専門家の方をはじめ多くの方の力をお借りしながら、練馬区では経済的な観点からみても本件民間委託を行う必要性はなく、むしろ経済的効果が発揮できていないこと、民間委託により構造的な混乱を生じさせ、保育の質を低下させてしまったこと、これは区長による裁量権の逸脱・濫用であると主張してきました。
しかし、残念ながら控訴棄却となり、判決にはさまざまな問題点があり、特に「保育の質」に関しては、保育基準の切り下げを容認しかねない内容です。垣内国光先生が意見書で指摘された児童福祉施設最低基準4条2項(「(保育園等が)最低基準を理由として、その設備又は運営を低下させてはならない」との規定)について、努力目標を定めたものにすぎないために、これに違反しても裁量権逸脱にはならないと示したのです。
この裁判の結論は、残念なものでしたが、この裁判を通して多くの成果を得ることもできました。今日、待機児対策として、基準の見直しなどが議論されていますが、この裁判で得られた成果を使用し、引き続きよりよい保育のため、運動を続けていきたいと思います。


被害続出の為替仕組商品
明らかになっていないその実態

弁護士 小薗江博之

円高により、通貨オプション取引で、多額の損失を被る中小企業が続出しています。これらの為替仕組商品は、証券会社や銀行が販売していますが、ある銀行は、「円が下がって輸入材(ベニヤ等)が高騰したときに、円安に対する保険的意味がある商品です。契約時の負担金はいりません。輸入材が値上がりしたときに補填になり、会社の負担が軽くなるので、是非お勧めします」と言って販売しました。

中小企業は、リスクを負うものはいらない、と答えたのですが、結局、大手銀行が勧めていること、が決め手で商品を購入しました。お金は出していないので商品を購入したという意識も希薄でした。
ところが、円高のため、あっという間に1億円を超える損失が発生しました。為替仕組商品は、一度契約すると、期間中に巨額の損失が発生するとわかっても、途中解約が困難な契約なのです。この説明は全くありませんでした。
相談を受けた中の1件では、なんとか銀行が損失の5割を負担することで合意に至りました。
為替仕組商品では、大学、公益法人、そして自治体にも多額の損失が発生していて、税金まで投入されている実態は明らかにされなければなりません。


今後の法曹養成制度
国民の人権保障に大きな影響

弁護士 工藤 裕之

私は、3年余り務めてきた司法研修所の刑事弁護教官を、昨年(2009年)4月1日付けで退任しました。
教官1年目のときに、法科大学院終了者を対象とする最初の新司法試験が実施されました。当初、法科大学院修了者の8割程度を合格させると言われていましたが、多くの法科大学院が誕生し、数多くの修了者が出たために、新司法試験の合格率は現在では30%程度になっています。
一方で、司法修習生のうち、就職する法律事務所が決まっていない人が多いのが実態です。法律事務所の受け入れには限界があり、他方で法曹資格者を受け入れる一般企業や官公庁も少なく、現実は、法曹を社会の隅々まで広く行き渡らせるという当初の理念とは大きくかけ離れたものとなっています。
そうだとすると、法科大学院制度を維持するとしても、定員や新司法試験の合格者の抜本的な見直しがどうしても必要になってくるように思われます。また、わずか1年という修習期間も新司法試験の合格者数とリンクしていることは否定できません。
いずれにせよ、法曹養成制度は法曹のあり方と密接に関連し、国民の人権保障に大きな影響を与えることになりますので、真剣に再検討すべきものと思われます。


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