事業者向け城北法律セミナー
会社危機=破産の法律問題
弁護士 小沢年樹
【破産手続を知っておく意味】
日本経済は未曾有のデフレ状況にあり、倒産や失業が増加しています。会社が危機に陥ったとき、倒産した場合には法律的にどんな問題が発生するかをよく理解しておくことで、取引先や従業員にできるだけ迷惑をかけず、また経営者自身も再起を図るために適切な対処をすることが可能です。
【従業員のためにするべきこと】
最も大切な制度が、労働者健康福祉機構による未払賃金の立替払い制度です。破産手続に入った場合は、破産管財人による証明書の交付を受けて機構に申請します。基本的に、未払賃金の6か月分について8割が従業員本人に支給されますが、破産管財人がスムーズに証明書を作成するために、賃金台帳や未払い一覧表などの資料を経営者が整理・準備して、破産管財人に早期に引き渡すことが必要です。また、失業手当のための離職票交付や、健康保険の国保への切り替え等のために、ハローワークや社会保険事務所への申告手続も怠ってはいけません。倒産時の混乱でこうした手続がなされないまま破産する例がかなりありますが、失業手当の給付が遅れるなど、従業員にとっては重大な不利益が生じます。
【取引先・借入先のために】
倒産時には、特定の取引先や借入先に迷惑をかけられないとして、売掛金の支払いや借入金の返済を行うこともよくみられます。しかし、これらは破産管財人によって否認権を行使される可能性があります。否認権は、例えば100万円の商品を10万円で売却したり(詐害行為)、特定債権者だけに弁済したとき(偏ぱ行為)、破産管財人がこれを否定して商品や弁済金を相手から取り戻す制度です。以前は正式裁判が必要でしたが、法改正で否認請求というあらたな制度が創られ、より簡単に行使できるようになりました。したがって、事前に弁護士などに相談して、将来的に否認される可能性を慎重に判断しないと、取引先などに後で迷惑をかけてしまいます。
【経営者の再起のために】
企業が倒産すると、債務保証をしている経営者個人も同時に破産することが一般的です。このとき、個人の債務は裁判所から免責を受けて経済的再起を図りますが、?免責を受けられない非免責債権(悪意の不法行為賠償責任など)があり、また?負債全体の免責を認めない免責不許可事由(財産の隠匿等)も法定されています。これらについても、事前に弁護士などとよく相談し、きちんと免責を受けられるように対処法を検討しておくことが大切です。
自由法曹団東京支部ソフトボール大会
昨年11月9日、毎年恒例の自由法曹団東京支部・ソフトボール大会に参加しました。
毎年優勝を目標に掲げるものの、前回の優勝からはや10年。WBCで日本が優勝したし、イメージトレーニングもバッチリ。さあ結果は!?
10位でした・・・ 今年こそは!
皆様からの投稿写真を募集します
「風景」「人物」「自慢のペット」などの写真をお送り下さい。
投稿された写真の掲載判断につきましては、次号での掲載をもってかえさせていただきます。
どしどし、「写真応募係」まで、ご応募ください。
なお、お送り頂いた写真・ネガなどの原本は返却できませんのでご了承ください。