原発弁護団 原発被害の完全救済を求めて
弁護士 田村優介
福島第一原発事故によって放出された放射性物質による汚染は、未曾有の広がりを持つ公害です。
事務所の弁護士も、事故以来何度も福島県や東京都内の避難所へ足を運び、法律相談などに参加し、被害の声を聞いてきました。
今回の事故は、まさに前代未聞の公害であり、その被害は複合的かつ多種多様です。被害はいわば生活・人生全面に及んでおり、その痛切さを聴き取りのたびに感じているのが現状です。
また、避難地域と非避難地域の差、あるいは、自主的に避難した人と福島にとどまった人との間に心理的なわだかまりが生じてしまう、などといった、地域における分断・対立、という、極めて不幸な被害も生じかけているという指摘もあります。
このような許しがたい被害の完全賠償を求めるべく、現在、原発被害の完全救済を求めて複数の弁護団が結成されており、東電への請求、国への賠償請求を行なっていくべく、被害の聴き取り、東電との交渉、請求における理論的な面の研究などに奔走しているところです。
極めて長いたたかいになることが予想されます。被害の完全救済を求めて、精いっぱいがんばっていく所存です。
過労死防止基本法の制定を求める署名にご協力を!
過酷な労働環境のなか、いっこうになくならない過労死・過労自殺。労働基準法は週40時間労働を定めていますが、充分に機能していません。国が総合的な対策を行わなければ、問題の抜本的な解決は図れません。過労死弁護団では、過労死があってはならないことを国が宣言し、過労死をなくすための基本的方策を定める「過労死防止基本法」の制定を求める100万人署名を行なっています。ぜひ、別紙の署名用紙に署名のご協力をいただき、城北法律事務所まで返送いただけますよう、よろしくお願いいたします。
薬害イレッサ 薬害をなくすまでたたかう!
弁護士 阿部哲二
イレッサは2002年7月に世界で最初に日本で承認された肺がん用抗がん剤です。承認後半年で180人、これまでに800人以上の方が副作用で亡くなっています。
2004年から東京・大阪で国と輸入販売会社のアストラゼネカ社を被告として裁判を起こし、昨年、東京・大阪の両地裁で企業、さらに国の責任を認める判決を受けました。
ところが、昨年11月には東京高裁で、今年5月25日には大阪高裁でも原告の請求を全面的に棄却する判決がありました。
両高裁判決とも、イレッサ承認時に死亡例を含む20例近い副作用報告がありながら、これを見逃した国と企業の責任を免罪する極めて不当な内容です。
承認前の副作用情報を握っているのは、企業と国だけです。この二者が情報を見逃したり、情報の価値を軽くみたりしたら、医療現場にクスリの本当の危険は伝わりません。情報の充分な開示がなければインフォームドコンセントも成立しません。
大阪高裁判決が言い渡された5月25日は、アスベスト被害をめぐる訴訟で国の責任を否定する判決が横浜地裁で言い渡されています。司法の消極的な姿勢が強くなっています。
訴訟は最高裁に移りました。私達は薬害をなくすため、この判決を許さず、たたかい続けます。
また、これからの抗がん剤副作用被害を少しでも補償し、副作用を防ぐために救済制度案を作り厚生労働省に提出しています。
薬害を二度と再び起こさせない、それが闘う原告団・弁護団・支援の願いです。よろしくご支援ください。
首都圏建設アスベスト訴訟 不当判決を乗り越えるぞ!
弁護士 松田耕平
これまでも本ニュースでご紹介してきた「首都圏建設アスベスト訴訟」。本年5月25日、横浜地方裁判所で原告(建設現場でアスベスト粉じんにばく露して肺がん、中皮腫、じん肺などの重篤な病気に罹った建設作業従事者とその遺族)の国と建材メーカーに対する請求を棄却するという不当判決が下されました。
判決は、①建設作業従事者の重篤な被害には全く触れていない、②建設現場がアスベスト粉じんに汚染されていた実態を考慮していない、③国や建材メーカーのアスベストに対する危険性の認識が希薄であることを認めつつもそれを許容している、などの点でとても正当なものと評価できるものではありません。弁護団は直ちに東京高等裁判所へ控訴しました。
しかし、こんな不当判決に意気消沈してはいられません。来る9月26日(水)午後3時には、東京地裁での判決が予定されています。私は東京地裁での審理に関わってきましたが、提訴から結審までの約4年間、膨大な証拠を整理して主張として組み立て、また多くのアスベスト被害者や専門家の尋問を実施してきました。これら主張・立証の積み重ねによって、東京地裁では必ずや勝利判決が得られると思っています。
このような法廷闘争と両輪をなすのが法廷外での運動です。東京土建一般労働組合をはじめとする多数の建設関係組合の支援を受けて、建設アスベスト被害に対する世論を盛り上げるべく日々啓蒙宣伝活動に取り組んでいます。この運動に賛同する国会議員も日増しに増えています。
こうした法廷内外での活動は、横浜地裁での不当判決を乗り越えるとともに、9月26日に東京地裁での勝利判決によって実を結ぶはずです。みなさまにも引き続きご理解とご支援をお願いいたします。