還暦をすぎて
丸ノ内線とともに
弁護士 小薗江博之
私は昨年還暦を迎えましたが、少し遅れて今年の1月20日に、地下鉄丸ノ内線が開業60年を迎えます。学年が同じなので同級生感覚です
開業当初は池袋-お茶の水間の折り返しで、料金は初乗り20円、全線30円でした。当時国鉄は、初乗りが10円で倍の料金でしたが、それでも開通前は、お茶の水から秋葉原、山手線に乗って池袋でしたから、格段の違いでした。昭和30年ころは昼間2両編成、早朝夜間は1両(前に運転士、後ろに車掌がいるので都電と同じ)で運行していました。
お茶の水駅周辺はというと、橋の上は靴磨きがずらっと並び、夕方になると医科歯科の前にはおでん屋などの屋台が並ぶ風景でした。湯島側は、東京大空襲で焼けた後、建っていたバラックを建替えて住宅が立ち並んだ頃です。
私の60年間で、だいたい2日に1日、丸ノ内線に乗っています。定期券は1960年4月から1回も切れたことはありません(あと20年続けばギネスブック並)。現在は、裁判所や弁護士会館のある霞が関駅まで週に3~4回往復していますが、秘密保護法などの悪法に対して国会議員要請に行くときは、国会議事堂前で下ります。請願(デモ)行進のときは、両議院まで行って帰ってきます。これから二還り目、健康であり続ければ、丸ノ内線に乗る日が続きます。
司法修習生に対する給費制廃止 違憲訴訟を提訴しました
弁護士 種田和敏
司法試験に合格した後、弁護士・裁判官・検察官になるためには、1年間の司法修習を受けなければなりません。そして、司法修習中の者を司法修習生といいます。
この点、2012年までは司法修習生に対しては、毎月約20万円給与が支給されていました。この制度を給費制といいます。つまり、私が司法修習生の頃は、給与をもらっていました。
しかし、現在、給費制は廃止され、毎月約20万円を借金する制度に変わりました(貸与制といいます。)。司法修習生は、司法修習に専念するため兼業が禁止されていることから、生活費を自らまかなうことができません。そのため、8割を超える司法修習生が1年間で300万円あまりの借金を強制される状態にあります。
そこで、借金を強制された元司法修習生211名(現在は多くが弁護士)は、2013年8月、東京・名古屋・広島・福岡で、給費制を廃止したことが憲法の規定する司法制度の根幹を揺るがし、ひいては市民の基本的人権を脅かすことや、司法修習生の生存権や労働基本権など諸権利を侵害することなどを理由に、国に対し、国家賠償請求などを提訴しました。
提訴に踏み切った元司法修習生らは、自らの権利だけでなく、市民の権利を守るために、立ち上がりました。
ぜひ、この裁判にご支援、よろしくお願いします。
裁判傍聴入門
ぜひチャレンジしてみてはいかが
弁護士 茨木智子
裁判は誰でも傍聴することができます。実際の法廷がどんな雰囲気か、一度見学をしてみるのはいかがでしょうか? 最近は裁判員裁判の日程などをネットで事前に調べることができるので、予定を立てやすくなりました。
東京地裁の場合は、入り口で手荷物検査を受けた後、自由に法廷に入ることができます。1階のカウンターに「開廷表」というスケジュール表があり、その日どの部屋でどんな事件の裁判をするかが載っていますので、まずはそれを見て傍聴したい裁判を選びましょう。傍聴希望者が多く、抽選を行う大きな裁判以外は、傍聴するための手続きは特に何もありません。開廷表の時刻に合わせてその法廷に行くだけです。
初めての傍聴の場合は、裁判の内容や手続きの流れがわかりやすいので「地裁・刑事事件・新件」をおすすめします。(傍聴の醍醐味は被告人質問や証人尋問のやりとりですが、事件の概要がわからないと付いていけません)
法廷番号の最初の数字は階数を表します。「512」ならば5階です。東京地裁のフロアは南北に長く、似たような作りなので、エレベーターを降りた所に貼ってある案内図をよく確認してくださいね。法廷には「傍聴席入り口」の扉があり、そこからいつでも出入りできます。
事実は小説より奇なり。いろいろな裁判がありますので、これまで知らなかった世界に出会えるかもしれません。ぜひ今年チャレンジしていただければと思います。