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城北法律事務所 ニュース No.70(2014.8.1) | 城北法律事務所

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城北法律事務所 ニュース No.70(2014.8.1)

城北法律事務所 ニュース No.70(2014.8.1)

アスベスト被害
建設現場でのアスベスト被害の救済を

弁護士 加藤 幸

 建材に含まれるアスベストによって、建築現場で健康被害を受けた建設作業員160人が国と建材を製造したメーカーに対し損害賠償を請求する裁判を、2014年5月15日に東京と横浜の地方裁判所に提訴しました。この裁判は、これまでも何度かご報告してきた「首都圏建設アスベスト訴訟」の第2陣訴訟となります。

 最近でも、学校や公共施設などでアスベストが含まれた建材が使用されていることが判明し、問題となっています。現在でこそアスベストの危険性が知られるようになりましたが、以前は、アスベストは安価で耐火性のある「奇跡の鉱物」と呼ばれ、その利便性から多くの建材に使われていました。国や建材メーカーはアスベストの危険性を知りながら、それを作業員らに周知させるための対策を怠り、アスベストの利用を推進してきました。

 原告らは、中皮腫や肺癌という重篤な病気にかかり、仕事ができない状態にあります。また残念なことに亡くなってしまう原告も多くいます。

 アスベスト被害は国と建材メーカーが引き起こした公害です。失われた命、健康な体は取り戻せませんが、国と建材メーカーには責任を認め適切な補償を行う義務があります。


すべてのB型・C型肝炎患者救済をめざして
飛躍的に運動が進んでいます

弁護士 小沢年樹

 4か月で52万の署名が集まりました!

 6月に幕を閉じた通常国会において、予防接種B型肝炎訴訟、薬害C型肝炎訴訟、日本肝臓病患者団体協議会の3団体が一緒に取り組んだ「肝硬変・肝がん患者への医療費助成・障害者手帳の認定基準緩和」を求める請願署名約52万筆を集め、与野党200人以上の紹介議員に提出しました。わが事務所も「肝炎問題」ニュース特別号を発行し、読者のみなさまから数多くの貴重な署名を届けていただきました。この場を借りて深くお礼申し上げます。

 請願は残念ながら採択に至りませんでしたが、障害者手帳の基準緩和に向けて厚労省が研究班を立ち上げ、来年には結論を出すとのきわめて貴重な成果を獲得しました。医療費助成拡充に向けてオールジャパンで頑張ります。

 現在、私たちの請願・陳情に基づく肝硬変・肝がん医療費助成を求める地方議会意見書は、35道府県、17政令市をはじめ403自治体で採択され、その住民人口は1億人を突破しています。予防接種・輸血・血液製剤などの医療行為によりたまたま感染してしまった「医原病」としてのB型・C型肝炎患者には、戦後医療の恩恵を受けてきた国民全体がオールジャパンの精神でサポートすることが必要です。引き続き、みなさまのサポートをお願いします!


大飯原発運転差し止め判決
司法は生きていた!

弁護士 菊池 紘

 事務所の弁護士は、かずかずの原発裁判に力をつくしています。こうしたなかで5月21日に福井地裁は、関西電力大飯原発の3、4号機の運転を差し止める画期的な判決をいい渡しました。「地震大国日本において、基準地震動を超える地震動が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しに過ぎないうえ、…そこでの危険は万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる」として、運転差し止めを命じたのです。さらに判決は、電力会社のコスト論について、「当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものにかかわる権利と電気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている」「コストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転の停止によって多額の貿易赤字がでるとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」としています。人々は「司法は生きていた」との垂れ幕を掲げ、喜びました。この判決は、原発反対の世論のたかまりを背景にだされたものですが、逆に判決は人々をこの上なく励ましています。


ノーモアミナマタ第二次訴訟
いよいよ東京でも提訴へ

弁護士 津田二郎

 ノーモアミナマタ国賠訴訟は、2011年3月に国、熊本県、チッソと、歴史的な和解を成立させました。

 国は、訴訟中の2009年に水俣病特措法を制定し、「救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済」(同法3条)するとしましたが、国(環境省)、熊本県、鹿児島県が、救済基準をきわめて厳しく運用した結果、居住地域や出生年を不合理に線引きし、多数の被害者を救済の対象外としました。さらに環境省は、昨年7月、特措法に基づいて給付申請したものの救済対象に該当しないとの判定を受けた者の不服申立を認めないとした上、同月末日をもって特措法の申請受付も打ち切りました。このことで、多くの潜在被害者が切り捨てられました。

 熊本ではすでに昨年6月の第1陣提訴以来、本年7月16日に提訴した第5陣まで合計545人の原告が救済求をめて裁判に立ち上がりました。

 東京でも、熊本に続けと準備を続けて参りましたが、いよいよこの夏、関東近県在住の被害者が被害救済を求めて提訴することとなりました。どうかご支援ください。

 弁護団HPも立ち上げました。「ノーモアミナマタ 第二次」で検索してください。お知り合いの方で、熊本県水俣市周辺のご出身で体調不良を訴えている方があればHPをご覧の上ご一報ください。


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