池袋派遣村での出会い
弁護士 大山 勇一
財産の半分を派遣村に寄付!?
昨年10月23日に第22回目の「池袋派遣村」何でも相談会を実施しました。今回は、カバン店閉鎖に際して無償で提供してくださった大小のカバンが人気を集めました。また、今回もホームレスの方が「おにぎりをもらったが、もらうばかりでは申し訳ない。なにか御礼をしたい」とのことで、途中から宣伝活動に加わりチラシを一緒に配布してくださいました。その後、「少しは人の役に立つことができたかな」と微笑んでおられました。
なお、数年前の相談会でも、「自分よりも大変な人のために使ってほしい」とのことで、自分の全所持金何万円かのうち、半分をカンパすると申し出てくれたホームレスの方もいらっしゃいました(その残った半分は、お世話になった友人に返すと言っていました)。私はとても自分の財産の半分を寄付することなんて考えられません。
今後はどこで行うか?
これまで相談会を実施していた中池袋公園は、豊島区庁舎跡地の再開発計画に組み込まれ全面的に模様替えとなり商業用のイベント空間になるそうで、今後は利用できなくなります。区民が憩うことができ、多くの方がささやかな行事を行うことのできる公園がますます豊島区内からなくなっていくことはとても淋しいことです。公園に限らず、会議室や小ホールなど、手ごろな値段で区民が利用できる公共スペースが確保できるよう、豊島区のお金の使い方にも目を光らせていく必要があります。
もっとも、この池袋派遣村の活動は、区としても気にかけているようです。先日、副区長と面談をして、代替地となる公園をいくつかあっせんしてもらいました。適切な場所が決まりましたら、みなさまにお知らせいたします。
生活に苦しむ方に寄り添う政治を
日本では生活が成り立たない時のために、様々な福祉制度が作られています。健康保険制度や年金制度、そして生活保護制度など。しかし、残念ながらこうした制度による救済から「漏れ落ちてしまう」方々が数多くおられます。制度へのアクセスの方法すら知らない方々もおられます。また、人は生まれつき個人差があり、境遇にも差があります。十分な教育を受け身体も頑強に育ち多くの友人を持つ方もおられれば、社会生活にどうしても馴染めずに孤独に生活されている方もおられます。生活に苦しむ方々に対して、それをすべて自己責任だといって責めることなどできないのは当然のことでしょう。
私が夜の池袋駅周辺での「夜回り」でホームレスの方々と話をして思うのは、多くの方が、目に見える身体的な病気に加えて、発達障害や若年性の認知症に罹患しているのではないかということです。こうした方々にこそ、あたたかい助言や介護、医療が必要なはずです。明日をも不安な身ながらもカンパを申し出てくれた、あの方の気持ちに寄り添う国づくりが求められます。