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B型肝炎訴訟について

B型肝炎訴訟について

1 B型肝炎とは何ですか?

B型肝炎とは,B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することによって起こる肝臓の病気です。B型肝炎ウイルスに感染し,ウイルスが肝細胞に住み着く状態(持続感染)となった場合,慢性肝炎,肝硬変,肝がんの原因となります。
B型肝炎患者・ウイルス持続感染者は,全国に約100万人いると推定されています。
B型肝炎ウイルスの主な感染原として,集団予防接種の際の注射器の使い回し,母親からの感染,輸血による感染等があります。
日常生活の場でHBVに感染することはほとんどありません。一方,集団予防接種において,注射器・筒が連続使用された場合,前の接種者にB型肝炎ウイルスの持続感染者が存在していれば,ほぼ確実に後者に対し感染するとされています。

2 国の行った予防接種でB型肝炎に感染するのですか?

集団予防接種は国民に対して法律で罰則付きの義務として行われてきました。
他方で,注射器の使い回しによって肝炎の感染が広がる危険性は戦前から知られており,戦後間もない時期から,注射器の使い回しの危険性を指摘する医学論文が次々と発表され,1953年には,WHO(世界保険機構)も,ウイルス肝炎感染予防のため予防接種の注射筒・針の連続使用を止めるよう勧告を出していました。
ところが,国は,「1人ごとに注射器を取り替える」というわずかな手間とコストを惜しみ,1989年ころまで,連続使用を放置していたのです。
このため,健康に生まれた多くの子どもがB型肝炎ウイルスに持続感染してしまいました。

3 B型肝炎訴訟とは何ですか?

集団予防接種による注射器の使い回しでB型肝炎ウイルスに感染した被害者たちが国を被告として損害賠償を求めている裁判が,B型肝炎訴訟です。
1989年,北海道のB型肝炎患者5名が国に対し,損害賠償を求める訴訟を提起し,17年にも及ぶ長い裁判の末,2006年6月16日,最高裁判所が国の責任を認め,賠償を命じました。
ところが,国はあいかわらず他の被害者に対する救済をしようとはしませんでした。
そのため,このような国の態度を変え,予防接種によってB型肝炎ウイルスに感染した被害者の被害を回復し,ウイルス性肝炎患者全てが安心して治療が受けられる恒久対策の確立を目的として,2008年,全国各地で訴訟が提起されました。
2011年6月28日,3年以上にわたる裁判の末,国との間で基本合意が締結されました。
これにより,ようやく,集団予防接種の際の注射器の使い回しによってB型肝炎ウイルスに感染した被害者の救済がはじまりました。

4 B型肝炎訴訟の目的は何ですか?

⑴ 被害者の方の救済
働き盛りの時に闘病のために退職を余儀なくされた方,前触れもなく突然肝がんと言われ,余命の宣告を受けた方,既に亡くなった方など,被害は甚大です。また差別・偏見に苦しんでいる方も数多くいます。ご家族の苦労も大変なものです。
ところが,国は長年にわたり被害者に対してなんの手を差し伸べることもしなかったため,多くの被害者は自らがずさんな医療行政による被害者であることを知らされないまま苦しみ続けているのです。私たちは,この被害者切り捨ての国の姿勢を変えさせるため,集団訴訟を提起しました。

⑵ 恒久対策
ウイルス性肝炎患者全員が安心して治療を受けられる体制の確立や,差別偏見の解消のための国の広報等の拡充を求めています。

⑶ 真相の究明
集団予防接種の注射器打ち回しが長年是正されなかったのは何故なのか,B型肝炎が広がってしまった真相の究明に取り組んでいます。

5 和解の対象となる方

基本合意において定められた和解対象者の条件は下記のとおりです。

和解対象者の認定要件

①昭和16年7月2日以降の生まれであること
(昭和23年7月1日の予防接種法施行時以降に7歳未満であったこと)
②B型肝炎ウイルスの持続感染者であること
(B型肝炎ウイルスのキャリア、慢性肝炎、肝がん、死亡)
③満7歳までに集団予防接種を受けたこと(母子手帳、接種痕、その他で立証)
④母子感染ではないこと(母親がキャリア等ではないこと)、
または集団予防接種被害者である母からの感染=「2次感染被害者」であること
⑤集団予防接種以外の感染原因がないこと

6 和解の内容

<和解の内容>
病態の区分和解金
①死亡、肝がん、肝硬変(重度)3600万円
②肝硬変(軽度)2500万円
③慢性肝炎(④又は⑤に該当する者は除く)1250万円
④慢性肝炎(発症後提訴までに20年を経過したと認められる者のうち、現に治療を受けている者等)300万円
⑤慢性肝炎(発症後提訴までに20年を経過したと認められる者のうち、④に該当しない者)150万円
⑥無症候性キャリア(⑦に該当する者を除く)600万円
⑦無症候性キャリア(提訴までに20年を経過した者)50万円※

※⑦の無症候性キャリアは、和解金に加えて、今後の検査費用(年4回までの血液検査、画像検査年2回までのCT・MRI)及び年2回までの検査毎の手当1万5000円、家族の感染防止ワクチン費用を国が負担。

7 訴訟についてのお問い合わせ

当事務所では,訴訟の当初から全国弁護団においてB型肝炎訴訟に取り組んでおり,現在,小沢年樹,田場暁生,白鳥玲子,田村優介,種田和敏,舩尾遼,湯山花苗,の計7名の弁護士がB型肝炎東京弁護団に参加し,B型肝炎訴訟に尽力しています。
訴訟への参加を希望される方,その他のお問い合わせは,下記のB型肝炎訴訟東京弁護団までご連絡下さい。
自分が和解の対象になるのかわからない,という方も,まずはお気軽にご相談されることをおすすめ致します。

B型肝炎訴訟東京弁護団ホームページ
http://bkan-tokyo.com/

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