城北法律事務所 ニュース No.53(2006.1.1)

目次

若者の雇用を守れ
不当な扱いを受けたら泣き寝入りしないで相談を

弁護士 大山 勇一

今、若者の雇用が危機に瀕しています。現在、24歳以下の若者の2人に1人はパート、アルバイト、派遣社員といった非正規雇用となっており将来に不安を抱えながら生活を送っています。

事務所への相談や日本労働弁護団主催の電話相談などでは、賃金の一方的な切り下げ、残業代の未払い、些細なミスを口実とした退職強要などをよくお聞きします。

ヤクルト製品の販売員だった女性は上司から「あなたは事業者であって社員ではない。来月から取引は中止だ」と言われ、事実上解雇されました。会社は社員と同様に労務管理をしておきながら、都合が悪くなると「雇用関係にないからいつでも取引中止という形をとれる」と主張するのです。泣き寝入りせず裁判で戦った結果、勝利和解に至りました。また、ヨドバシカメラの派遣社員が正社員から暴行を受けた事件では、4たびにわたる暴行がすべて認定され、損害賠償を勝ち取ることができました。

さらに、女性派遣社員が上司から「契約更新されたかったら、俺とつきあえ」と交際を強要される相談もあり、現在交渉中です。

不当な扱いを受けたときには泣き寝入りせず、記録・証拠を残しておくこと、労働組合に加入して力を合わせることなどをアドバイスしています。しかし、雇用を創設し、非正規社員を正規社員と同等に扱うことなど政府の抜本的な取り組みこそ必要だと言えます。


弁護士登録から1年
「ありがとう」「助かりました」の声に励まされて

弁護士 津田 二郎

早いもので、弁護士登録し、当事務所に入所してから1年が経ちました。 

この間、さまざまな事件に巡り会うことができました。国家権力が「思想統制」のために犯罪をつくりだした日の丸君が代板橋高校刑事事件では、その横暴に怒り、がん患者の命を軽んじて、不正確な情報を意図的に流し、たくさんの患者の命を奪った「薬害イレッサ訴訟」では、がん患者とその家族の辛い経験に涙しました。

多数のヤミ金からの取り立ててで悩んでいた方。融資を申し込んだところ高額手数料を請求された方。離婚を契機に破産の決断をしなければいけなかった方。息子の結婚で生じる親族間の法律問題について心配されている方。残業代が支払われなかった方。リストラに対抗して労働組合を結成して闘っている方。不当な言いがかりをつけられて懲戒免職に追い込まれた方。いずれの事件も無事解決することができ、大変に喜んでいただきました。

私がそれらの事件を根本的に解決したか、またどれだけ貢献できたかは分かりません。でも「助かりました」「ありがとう」と言っていただけると、それまでの苦労が吹っ飛んでしまいます。

ある刑事事件では、前科23犯の、被告人の方から「国選弁護人なのによく頑張ってくださった。今度こそ本当に更生したいと思う」という手紙をいただいたこともありました。

これからも、勉強しながら、多くの方のお役に立てるように頑張っていきたいと思います。