城北法律事務所 ニュース No.55(2007.2.15)
目次
- Page 2
- 1 佐々木芳男弁護士を偲んで
- 2 佐々木芳男さんのこと「きらめく日々」
- 3 佐々木さん、さようなら
- Page 3
- 1 法律相談 Part 1
- 2 法律相談 Part 2
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- 1 「戦争のできる国」づくりにつながる改憲手続き法案(国民投票法案)を廃案に
- Page 5
- 1 一緒に「がんばろう」
- 2 さあ、全面解決へ!「東京大気汚染裁判」
- 3 高年齢者継続雇用制度の導入にあたって
- 4 生存権裁判- 生活保護老齢加算廃止の取り消しを求める
- Page 6
- 1 今年こそ大転換の年に
- 2 区民の財産を無償貸与 板橋・加賀保育園
- 3 「ザ・弁護士」
- 4 映画「それでもボクはやってない」
- Page 7
- 1 「第九」と憲法(9条)
- 2 空前絶後の薬害・イレッサ
- 3 ライブドア株主被害集団訴訟の現状
- 4 情も理もない判決 中国「残留孤児」国賠訴訟東京地裁判決
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- 1 新しい所員を紹介します
- 2 最強の敗者 ~自由法曹団ソフトボール大会~
- 3 お知らせ
今年こそ大転換の年に
弁護士 小林幹治
昨年も政権与党の不祥事が相次ぎました。
年末に「政務調査費」という名の税金で支払った飲食費769万円を、自民党品川区議団が区に返還し、また「不適切」な使い方だったと、目黒区の公明党の区議6名も辞職したと報道されました。
「白紙領収書での架空請求」、「温泉街の視察に妻と娘を同伴」などという記事や、佐田前行革担当相、松岡農水相や伊吹文部科学相らの「事務所費」問題、衛藤元防衛庁長官の迂回献金疑惑等が連日報道されています。どこまで広がっていくのか。
「産む機械」発言にいたっては、ここまできたかという感がします。明日はどの大臣の名が出るのだろうか、まさにドミノ倒しが始まったという感じがしています。内閣支持率の急降下も当然のことではないでしょうか。
石原都知事の高級料亭での豪遊、夫人や特別秘書を伴った海外出張、ガラパゴス諸島の視察では大型クルーザーを使っての遊覧と、こちらもやりたいほうだいです。いつまでもこのようなことをさせていてはならないと思います。
格差も広がるばかりで、今年こそは大転換の年にしたいと思っています。
区民の財産を無償貸与 板橋・加賀保育園
弁護士 大八木葉子
保育園の民営化が各地で計画・実現されています。
板橋区でも同様であり、加賀保育園の民営化に関し、阿部、深山、田場弁護士とともに板橋区民約300名の代理人として板橋区長に対して住民訴訟を行っています。
今回の住民訴訟では、単純に民営化すること自体のみを問題としているのではなく、特に①30年間に亘って区民の財産である土地を無償で貸与し、同じく区民の財産である保育園の建物等を贈与してしまうこと、②移管先と決定された学校法人と、実際に区民の財産を譲り受け保育園を運営していく社会福祉法人が別人格であること等を問題としています。
右の①について説明しますと、板橋区が一民間業者に30年間に亘って無償で貸与する土地の価額は約4億7000万円、贈与する建物の価額は約1億5000万円、同じく贈与する備品は約780万円です。手続き的には区議会の議決を経ていますが、その内容はどうでしょうか?板橋区は、このような無償貸与・贈与以外の方法についてどれだけ具体的に検討したのでしょうか?
訴訟はこれからも続きますので、皆様のご支援・ご指導等よろしくお願いします。
「ザ・弁護士」
弁護士 深山麻美子
「何やってんだ、あなたねぇ、全く」。向いの弁護士ブースから、大きな声が聞こえてくる。何が全くなのか具体的には分からないが、どうも電話で依頼者を説教している様子である。こういうことは、一度や二度ではない。
依頼者を大声で説教するとはノ、正直なかなかできることではない。皮肉も込めて、その弁護士に、「依頼者をあんなふうに叱るなんて、勇気ありますねえ」と言ってみた。
すると、くだんの弁護士、笑いながら「依頼者のために、俺ぐらいこんなにがんばる弁護士は他にはいない。そう言える自信があるから、できるんだよ」と答えた。
そうなのだった。この弁護士は、依頼者の置かれた境遇や心の痛み、想いを、誰よりも深く受け止めてきた。依頼者の苦しみに対して事務的にしか対応しない裁判所にくってかかったり、不当な判決に対しては涙を滲ませて悔しがった。逆に、自分の人生を大事にしない依頼者には、本気で怒った。
彼は病気を抱えていた。最後のころには呼吸困難になることもあった。しかし、亡くなる直前まで、『依頼者のために誰よりもがんばる』弁護士であり続けた。佐々木先生は、まさにザ・弁護士であった。
映画「それでもボクはやってない」
弁護士 工藤裕之
2007年1月20日に、周防正行監督の映画「それでもボクはやってない」(以下「それボク」といいます)が公開されました。
大ヒットした前作の「Shall we ダンス?」から11年振りで、しかも社会派映画ということで話題になっています。私も司法監修者の1人になっています。
周防さんは、とにかく真面目で熱心な方で、ある事件では弁護団会議に皆勤だったのは周防さんだけというエピソードもありました。この事件では、周防さんがビデオ撮影をして、これが大きな力となって無罪になったのです。「それボク」の脚本も、書いては、映画関係者、弁護士などに意見を求め、また書き直し、という連続でした。このような現実に立脚した大変な努力によって、非常にリアリティのある作品になっているのだと思います。
今回の映画で、日本の人質司法などの問題点が大きくクローズアップされて、刑事司法に国民的な関心が集まることを願っています。
周防さんには、これからも、被疑者・被告人、弁護人などの裁判関係者とは違う立場で、ぜひ、裁判を分析してほしいと思います。