城北法律事務所 ニュース No.56(2007.8.1)
目次
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- 1 憲法改正は最大の税金の無駄遣い一番の目的は戦争ができる国づくり
- 2 コラム刑事裁判はリンチの場ではない~刑事弁護人の役割とは~
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- 1 身近な法律相談
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- 1 Oさんの勝利的和解「遺憾の意」ではなく「謝罪」を
- 2 刑事実名報道は問題判決が下るまで実名報道は控えるべき
- 3 新支援策が実現!中国「残留孤児」 国家賠償訴訟終結へ
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- 1 加賀保育園裁判保護者の権利を守るために
- 2 東京大気汚染公害裁判ついにやった! 全面解決へ
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- 1 ライブドア株主被害・集団訴訟の展望1年後には被害者の全面救済が図れるように
- 2 光第八保育園裁判職員の退職ー最大の被害者は子どもたち
- 3 ただいま弁護修習中弁護修習ー 五感で学んだこと
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- 1 石川島播磨思想差別事件・和解調印石播が思想差別を反省 解決金10億
- 2 薬害イレッサ訴訟クスリの有効性なし 706人が副作用死
- 3 未払残業代請求裁判横浜地方裁判所 完全勝訴!
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- 1 弁護士在職40年若い弁護士に大きな刺激を受けて
- 2 グアムへ行ってきました
ライブドア株主被害・集団訴訟の展望
1年後には被害者の全面救済が図れるように
弁護士 大川原 栄
昨年6月、ライブドアあるいは同社元役員堀江氏らによる虚偽の風説流布と粉飾決算による証券取引法違反事件に関連し、同事件による被害者株主が損害賠償請求を求めて東京地方裁判所に提訴した。その後、第2次提訴から第5次提訴を経て、現在は3345名(法人25を含む)の原告が約193億円の損害賠償請求を行うまで拡大した。そして、本年3月、東京地方裁判所は、証券取引法違反により起訴された各被告に対し、実刑3名を含む厳しい有罪判決を言い渡したのである。
この被害者による提訴に対しては、当初、自己責任論からの批判があった。しかし、「株取引における自己責任」は、会社情報等について真実が明らかにされていることが前提であり、会社情報等の虚偽・粉飾についてまで各投資家が責任を負うべきとするものではない。最近は、少しずつこのことが理解されつつあるが、いまだに理解していない方がいることは嘆かわしい事態だ。実際、この事件の原告の多くは、年金生活者・サラリーマン・主婦といった方々であり、将来に備えてたまたま株式投資をしたという方がほとんどである。
刑事判決の関係証拠を分析しつつ思ったのは、信じられないような経営方針に基づく組織的犯罪が客観的に存在していたということだった。全国に被害者が存在する巨大な経済事犯でありやり得は絶対に許されない。何としても1年後には被害者の全面救済が図れるようにしたいものだと強く思う。
光第八保育園裁判
職員の退職ー最大の被害者は子どもたち
弁護士 大八木葉子
練馬区では、平成21から28年度の8年間に16園の区立保育園を民間委託する計画を発表しましたが、遡ること2年前、平成17年9月という年度途中の時期に光が丘第八保育園の運営を株式会社に委託しています。
この民間委託には様々な問題があり、練馬区民であるお二人が子どもを保育園に預ける親の思いから、東京地方裁判所に訴訟を起こしました。私は、この裁判に途中から代理人として加わっております。
民間委託自体の是非という点を除いても、「年度途中の9月」に民間委託を実行することには様々な混乱が予想され、多くの反対がありました。委託業者を選定する選定委員会でさえ「該当する業者がない」という結論を出しました。それにもかかわらず、練馬区は、すぐに練馬区職員で構成される選定会議を設置して業者を選定し、民間委託(9月からは準備委託、12月から委託)を開始してしまったのです。
このような経緯で民間委託が開始されたところ、大量の職員が退職するという事態が生じ、練馬区としては、業者に対して改善勧告に引き続き改善要請を出すことになりました。
この流れの中で最大の被害者は子ども達です。子ども達に対する保育の質を維持するため、今回の民間委託の問題性を司法の場で明らかしていく必要があります。
この裁判を支える会も作られました。皆様ご支援よろしくお願いします。
http://okkaketai.blog75.fc2.com
ただいま弁護修習中
弁護修習ー 五感で学んだこと
司法修習生 南山佳仁
私は、弁護修習として、城北法律事務所で先生たちと一緒に仕事に関わらせて頂いています。今までは、文献から知識を得るという生活を送っていましたが、今実際の事件に日々触れることで、五感で弁護士という仕事を学ぶことができ、非常に充実した時間を過ごさせてもらっています。
実際の現場にいて強く感じることは、依頼者の皆様の気持ち・思いです。文献では、「原告X」とだけ書かれ、その人の気持ちなどを知る由もなかったわけですが、実際に依頼者にお会いすることで、「事件に大きいも小さいもない。依頼者の人にとっては全てが人生のかかった重大問題であるのだから」という当たり前のことを、実際に五感で感じとったことが何よりの収穫だと思います。
そして、依頼者とともに闘うという強い思いをもって、労を惜しまず、日々全力で依頼者のために、動き回っている先生たちの後姿から、並々ならぬ熱意を感じ取っています。
弁護士という仕事は、人に困ったことがあって初めて生じる仕事です。常に、困った依頼者の思いを背負い、仕事に臨むという責任感の重さを感じつつ、自分も早く熱意を持って、一人一人の依頼者のために、社会のために、労を惜しまず動き続ける弁護士になりたいと改めて思いました。最初の半歩を踏み出したばかりですが、今感じ取っていることを忘れないで頑張りたいと思います。