城北法律事務所 ニュース No.59(2009.1.1)
目次
- Page 2
- 1 乳頭での怖い話「熊に間違えられた」?
- 2 司法研修所教官もやっと終わりに
- 3 一刻も早い救済を!B型肝炎裁判で追加提訴あいつぐ
- 4 マンション管理費滞納対策
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- 1 「自宅を失わないで債務の整理はできますか?」
- 2 「債務整理には3つの方法があります」
- Page 4
- 1 控訴審へ 加賀保育園裁判
- 2 薬害イレッサ訴訟 ~いよいよ決戦の年へ
- 3 肝炎対策基本法の早期成立を!~薬害肝炎訴訟はまだ終わりじゃない
- 4 日本の精神医療について
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- 1 もう一つのアスベスト訴訟リゾートソリューションアスベストじん肺訴訟
- 2 40年の闘いの総決算オリエンタルモーター事件提訴へ
- 3 ニューヨーク便りそれでもオバマ氏に期待する
- Page 6
- 1 実在の弁護士を装った請求
- 2 IHI粉飾決算被害弁護団結成
- 3 おまかせ借地法
- 4 パソコン苦闘中
- Page 7
- 1 5月21日スタート「裁判員裁判」が始まります!
- Page 8
- 1 好評開催中城北法律セミナー
- 2 <第3回> 職場・労働問題に役立つ『処方せん』「働くあなたの悩み超解決法」
- 3 <第4回> クレジット契約で失敗しないための『処方せん』「消費者必読の法律を知る」
- 4 <第5回城北セミナー>「貴方が裁判員に選ばれたら」
乳頭での怖い話
「熊に間違えられた」?
弁護士 菊池 紘
西の黒川温泉と並び称される東の乳頭温泉・黒湯に泊まった。かみさんと娘はかやぶきの温泉宿のたたずまいと打たせ湯にご満悦だった。
翌日は登山。朝早く、小さな岩魚がいそうな渓に沿って乳頭山(1478m)を目指した。深い谷をゆく標高差648メートルの登りだ。両側からかぶさって道を閉ざす背丈の高い草をかき分け、かみさんを先頭に、娘を挟んで私がしんがりで進む。
と、突然かみさんの先でパンパンパンパンと軽やかな爆発音がしたと思ったら、あたり一面にもわあーと紫煙がひろがった。そして強い火薬の匂い。「なんだなんだ」。ひょっとして猟銃に撃たれたか。道の先、草木の陰で誰かがぼそぼそ話している声が聞こえる。と、戻ってきたかみさんの話。「熊に間違えられた」 なんだ?
「渓流釣りのひとが、ざわざわ草が揺れて、なにかが迫って来る様子なので、てっきり熊かと思って、熊よけの爆竹を発火させたといっていた」とのこと。渓流釣りで名をはせ、その本も出している親しい弁護士がいるが、私は声を大にして言いたい。「釣り人は正規の登山道を登っている人をクマと間違えるな」と。
司法研修所教官もやっと終わりに
弁護士 工藤裕之
私が司法研修所の刑事弁護教官に就任して丸3年が経ち、任期はあと約3ヶ月となりました。教官2年目の年に新司法試験合格者(法科大学院出身者)を対象とする新司法修習が開始され、手探りの中で、司法修習生に対する授業、その準備等を行ってきました。正直言って、教官としての仕事に割かなければならない時間が長く、依頼者の皆さんにはご迷惑をお掛けし、申し訳なく思っています。
私自身、映画「それでもボクはやってない」の題材になった刑事事件をはじめとして、刑事弁護の経験はかなりあったのですが、やはり1クラス70人以上の司法修習生を対象にする講義は、具体的な事件を通じて、法的な問題、弁護活動のあり方等を、きわめて限られた時間の中で具体的に理解してもらわなければならないので、教えることの難しさを痛感する日々でした。
それまでの刑事弁護の経験はもちろん役に立ってはいたものの、多分に我流の色彩が濃く、基本に立ち返ってオーソドックスな刑事弁護を改めて勉強し直すことができ、自分自身にとっても非常に有意義な経験でした。また、この間、約300人もの教え子ができ、弁護士だけをしていてはまったく得られない経験もさせていただきました。
教官退任後も、こうした経験を生かし、新たな気持ちで、刑事弁護をはじめとする弁護士業務に取り組む所存ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
一刻も早い救済を!
B型肝炎裁判で追加提訴あいつぐ
弁護士 小沢年樹
乳幼児期の集団予防接種でB型肝炎に感染してしまった人々が、国の責任を追及する裁判に次々と加わっています。一日も早い全面救済が求められています。
B型慢性肝炎の患者・ウイルス保有者(キャリア)は100万人以上いるとされています。この中には、出産時の母親からの感染が原因となっている人もいますが、日本では戦後ほぼすべての乳幼児に実施されてきた集団予防接種における注射針・注射器の「使いまわし」によってウイルスに感染した患者が数多く含まれています。
平成18年、最高裁判所が5人の患者について「集団予防接種が感染原因であり、安全対策を怠った厚生行政には責任がある」と判断し、国に損害賠償を命じました。ところが厚労省は、「裁判を起こした原告5人だけの問題にすぎない」として、全国のB型肝炎・肝硬変・肝臓ガン患者の救済を求める声を完全に無視しています。
そこで昨年来、東京をはじめ全国の裁判所であらたなB型肝炎訴訟が提起され、原告数は200人に迫り、現在も増えつづけています。本人と母親などの検査を行い、「母子感染ではない」ことが明らかになれば、だれでも原告になることができます。詳しくは、東京弁護団事務局(03‐3355‐0611)までご連絡ください。
マンション管理費滞納対策
弁護士 上野 格
あるマンションにおいて、区分所有者が滞納していたマンション管理費500万円余りを回収した事件がありました。
マンション管理組合は、長期間かかる裁判をせねばならないのではないかと二の足を踏んでいるうちに、滞納額が多額になってしまったのです。
区分所有法の第7条によれば、管理組合には、滞納者が所有するマンション建物と敷地または建物内の家財等の動産について、先取特権が認められます。通常の民事裁判や判決を経ずに、マンション建物と敷地について強制執行を申し立てることができるのです。
強制執行は、不動産の競売と収益執行の方法があります。収益執行は、当該不動産が賃貸物件などの場合、裁判所が指定する管理人に不動産の管理を移し、賃料収入を債権の弁済にあてます。
私が担当した件は、賃貸物件でしたので収益執行を選択し、賃料収入が高かったこともあって早期に全額回収することができました。
このように簡便・早期に回収できる場合もありますので、お気軽にご相談ください。