城北法律事務所 ニュース No.62(2010.8.1)
目次
- Page 2
- 1 城北法律事務所創立45周年のごあいさつ
- Page 3
- 1 ブレずにまっとうな仕事を
- 2 今後の夢
- 3 私の弁護活動の原点を支えとして、これからも
- 4 いかなる時も「オープンハート」で
- Page 4
- 1 今後も自分なりにがんばりたい
- 2 みなさまに支えられて
- 3 弁護士3年を振り返って
- 4 夢中だった5年間
- Page 5
- 1 薬害肝炎弁護団の7年間を振り返って
- 2 アメリカで学んできました
- 3 27年の経験
- 4 弁護士の役割
- Page 6
- 1 4年に一度?
- 2 これまでに印象に残っている事件など
- 3 「しあわせでたのしい『あす』をむかえるために」
- Page 7
- 1 裁判員裁判
- Page 8
- 1 労 働
- Page 9
- 1 相続・遺言成年後見
- Page 10
- 1 中小企業・経営
中小企業・経営
今、重視すべきもの −コンプライアンス−
適正な事業活動をしていくために
「コンプライアンス」という言葉を耳にする方も多いかと思います。直訳すると「法令遵守」。企業の事業活動に関わる法令や企業倫理などを遵守(コンプライアンス)することにより、適正な事業活動をしていくための仕組みをいいます。
この言葉が最近使われるようになった原因は、大手企業の相次ぐ不祥事と言われています。偽装請負、産地や賞味期限の偽装表示、総会屋への利益供与、マンションなど建物の耐震力の虚偽計算、自動車メーカーによるリコール隠し、保険会社による保険金の不払い、金融機関による貸しはがしなど、企業の不祥事を数えあげればきりがありません。こうした事件のほか、違法解雇、賃金不払い、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなども含まれます。
これらは、本来、法令や企業倫理上、「やってはいけない」「やらない方がいい」と考えられていることです。ではなぜ、このような事態が生じるのでしょうか。それは、会社の経営的(経済的)な問題であったり、会社内部の組織的な問題であったり、原因はさまざまです。当事者からすれば、「やむを得なかった」という場合もあると思います。
ですが、このような不祥事がひとたび発覚すると、不祥事により生じた直接的な損害(損害賠償など)はもちろん、会社のイメージダウンなど間接的な損害もはかり知れません。時には会社の存続さえ危うくなることもあります。会社の存続を守るためにやむを得ず行ったことが、逆に会社の存続を危うくするのでは本末転倒です。
また、こうしたコンプライアンスは大手企業に限られたものではなく、中小企業にも当てはまります。不祥事によって損害賠償しなければならない場合、数百万円規模となることも少なくありません。このような場合、中小企業では賠償金の支払いが会社経営を圧迫し、倒産などに至る可能性もあり得ます。
こうした事態を未然に回避するために、会社の規模にかかわらず、進んで法令や企業倫理などを遵守することが求められているのです。
「法令や倫理などを守るのは当たり前じゃないか」と思う方も多いと思います(とくに、このニュースを読んでいる方々はそのような意識の持ち主ではないかと推察いたします)。ですが、多数の人が集まって展開される会社の活動は多種多様で、その分、活動するうえで直面する法令なども多種多様で複雑です。意識的に「法令違反をしよう」と考えていなくとも、法令などを知らず、結果的に法令などに違反してしまう場合もあるでしょう。
そこで、普段から、会社の活動内容に応じて、どのような法令などが問題となるのかを意識しておく必要が出てきます。ですが、複雑で多数ある法令などを理解するだけでも一苦労です。
そのような場合に役に立つのが我々法律家です。通常は問題が発生してからご相談いただくことが多いですが、法律家の役割は問題の処理に限られません。問題が発生する前にご相談いただくことで、相談事例が問題化し、あるいは問題が大きくなることを未然に防止することができる場合もあるからです。就業規則や企業倫理指針(プライバシーポリシー)などの作成や改定の相談などもコンプライアンスの一環ということができます。
このほか、会社や個人との顧問契約も一例です。顧問契約を結ぶことによって日常的な会社業務で疑問に思ったことなど、問題化する前の段階で、気軽に弁護士に相談して解消していくことが可能となります。気軽な相談が問題発生防止の第一歩です。
我々城北法律事務所は、こうしたコンプライアンスの観点からもみなさまのお役に立てればと考えています。問題が発生した場合だけでなく、会社経営等で疑問に思ったことがありましたら、その場ですぐにご相談ください。 また、手前味噌ですが、昨年秋に発刊した城北法律事務所と第一経理の共同執筆書「中小企業の経営実務ハンドブック」(旬報社)は、弁護士、税理士、司法書士、中小企業管理士などさまざまな立場の専門家が、会社の設立から解散まで、会社経営で直面する一連の問題についてわかりやすく説明した書籍です。
ぜひそちらもお買い求めいただき、コンプライアンスの一助にしてくだされば幸甚です。