城北法律事務所 ニュース No.66(2012.8.1)

池袋派遣村 「生活保護」のあるべき姿をめざして

弁護士 工藤裕之

第1回の池袋派遣村は、2009年5月14日に行われました。これは、2008年12月の日比谷における年越し派遣村の取り組みを受け、2009年3月までに12万人もの非正規雇用労働者の派遣切りなどがなされるのではないかという危機感のなか、実行委員会方式での準備が重ねられて、実施されたものです。

実行委員会は、豊島地域の労組、民主団体、区議の皆さん、大山弁護士を中心とする当事務所などで構成されていて、池袋派遣村は今年の5月16日までで、実に9回実施されています。

今年の11月には、記念すべき10回目が実施されることになっています。

池袋派遣村の取り組みは、そのときどきの課題を反映していて、当初は派遣切りの相談や生活保護申請への同行が多かったのですが、最近は福島原発事故の賠償に関わる相談や生活保護受給者の入居する施設の改善の取り組みもなされています。

特に見過ごすことができないのは、芸能人の母親が生活保護を受給していたことなどをきっかけとして、いわれのない「生活保護の不正受給」攻撃がなされるなど、正当な生活保護の申請をさせない動きが強まっており、こうした動きは断固として跳ね返す必要があります。

また、池袋派遣村は、医療関係者の方による医療相談や血圧測定、あるいは、おにぎりを多数用意して路上生活者の方などに食べてもらったり、洋服を持って行ってもらったりと、数多くのスタッフが工夫を凝らした多彩な取り組みを行っているのです。

こうした池袋派遣村の取り組みは、そのときどきの課題を反映した形で、今後も息長く続けて行くべきものだと考えています。
今後ともよろしくお願い申し上げます。


石巻市を訪ねて 無料バザーと法律相談を行いました

弁護士 大山勇一

4月20日から22日にかけて、東京都内の弁護士と法律事務所事務員の有志約20名で、宮城県石巻市での被災地ボランティア活動を行ないました。

2日間で仮設住宅南境第7団地(400戸)、追波川河川運動公園河川団地(100戸)などを回り、集会所をお借りして、法律相談を実施し、衣類や日用品などのバザーを行い、米、玉ねぎ、ジャガイモなどの食料品を1世帯に1袋ずつ配布してきました。

法律相談では、「住宅を新しく建てるために銀行から融資を受けたいが、津波で壊れてしまった自宅の住宅ローンがまだ残ったままだ」という「二重ローン」の相談がありました。既存のローンがすべてなくなるという制度はないものの、石巻市では既存の住宅ローンの金利5年分について補助が行なわれていたので、その手続きについてお知らせしました。また、「津波で親、きょうだいが亡くなってしまったが、相続はどのようになるのか」という相談がありました。

本来、死亡の時刻によって相続の順番が異なってくるのですが、災害の時には正確な死亡時刻が分からないことが多くあります。このようなときには「同時死亡の推定」(民法32条の2)という制度を適用して相続の問題を解決することになることをお伝えしました。そのほかにも、たくさんの被災者から津波や地震、火災の悲惨な体験を含めて、切実な悩みを聞かせていただきました。

法制度の不備のために充分な解決策を提示することができないことも多くありましたが、「話を聞いてもらっただけでも気持ちが楽になりました」とおっしゃっていただけて少しは役に立てたのかなと思いました。


しば犬(♀)を飼ってます。

弁護士 深山麻美子

昨年からしば犬を飼ってます。買った生後2か月のころはとても可愛かった。しかし可愛い子犬時代はあっという間で、とにかく世話が大変(遁走して幹線道路を疾走する騒ぎも)。しかも、甘え上手の洋犬と違ってしば犬はなかなか人に懐かない。本当可愛くない!

何度か切れた後、ほとんど世話は家族に任せきり。楽にはなったが、毎日根気よく世話を続けている家族を見ていると、なんだか落ち着かない。

世間ではペット法改正に向けて、生後8週間内の犬の販売を規制する議論がなされているとか。せめて生後8週間は子犬が親や兄弟と充分な交流をもつことが、子犬の健全な心身の発達に大事だそうだ。生後8週間内の販売規制によって、子犬の可愛い姿に飛びついて安易に買ったが、飼うのが面倒になって安易に捨てるという無責任な買い方を抑制する効果も期待されているらしい。耳が痛い。

考えてみれば、今や家族の最大の共通話題(課題?)は犬のことだし、嫌でも行く毎日の散歩で近所の公園にカルガモやカワセミがいるのを発見できた。世話は大変だが、その存在自体がちゃんと返してくれているものがあるのだ。もう少し世話をしてみようか。そのうちしば犬でも多少は懐いてくるかもしれないし。