城北法律事務所 ニュース No.66(2012.8.1)
目次
- Page 2
- 1 TPP参加で国が滅ぶ
- 2 議員減らしは政治家の身を切る改革?比例定数削減論のまやかしを切る!
- Page 3
- 1 民主主義とファシズムと ~カリスマ首長の乱暴な市政運営に歯止めを
- 2 どうなる!? 「子ども・子育て新システム」
- Page 4
- 1 原発弁護団 原発被害の完全救済を求めて
- 2 薬害イレッサ 薬害をなくすまでたたかう!
- 3 首都圏建設アスベスト訴訟 不当判決を乗り越えるぞ!
- Page 5
- 1 池袋派遣村 「生活保護」のあるべき姿をめざして
- 2 石巻市を訪ねて 無料バザーと法律相談を行いました
- 3 しば犬(♀)を飼ってます。
- Page 6
- 1 法律相談◆退職勧奨
- 2 裁判員裁判 弁護人を経験して
- Page 7
- 1 民法改正 親権停止・離婚時の取り決め
- 2 2/24 事務所セミナー報告「後見制度」ってなんですか?
- 3 新刊紹介借地借家人組合と共同で更新料解決マニュアルを刊行しました
- Page 8
- 1 陸自レンジャー訓練反対運動と給費制存続運動
- 2 よろしくお願いします
民法改正 親権停止・離婚時の取り決め
弁護士 茨木智子
昨今、増加している児童虐待の防止を図り、児童の権利利益を保護するために民法等の一部が改正されました。(平成23年6月公布、平成24年4月施行)
主な改正点は、①親権制度の見直し、②離婚における子の養育費や面会交流に関する取り扱い、③未成年後見人制度の見直し、④子の監護・教育の権利義務が「子の利益のためであること」の明文化などです。
[児童を保護する必要性]
親などの虐待により児童が死傷する事件がよく取り上げられますが、児童虐待には、身体的虐待のほかに、性的虐待、ネグレクト(育児放棄)、心理的虐待などが含まれます。平成12年公布施行の児童虐待防止法により、これらの虐待を禁止し、早期に発見して児童を保護する措置が講じられてきました。
[親権の壁]
家庭内での虐待から児童を保護しようとするとき、『親権』が壁になることがありました。例えば、親権者が児童の治療を拒む(医療ネグレクト)などです。親権者の同意がないため、児童は必要な治療を受けることができません。
このように不当な親権の行使を制限する方法は、これまで親権喪失制度しかなく、期限を設けずに親権全部を喪失させるため、要件が厳しく、また、申立が躊躇されるといった問題点が指摘されていました。
[親権停止・親権喪失制度]
今回新設された親権停止制度(民法834条の2)により、「親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」に、2年以内の範囲で親権停止の申立ができるようになりました。
また、親権喪失の要件は、民法834条が改正で明確化され「虐待又は悪意の遺棄があるとき」その他親権の行使により「子の利益を『著しく』害するとき」となりました。
これらの申立ができるのは、子本人、子の親族、検察官、児童相談所所長、未成年後見人、未成年後見監督人です。
今回の改正により、虐待された子本人も申立できることになりましたが、子を守るためには、子の親族や児童相談所が適切に対応することが求められています。
[面会交流と養育費の取り決め]
また、今回の改正で、離婚の際に定める必要な事項の例示として「面会交流」「養育費」が加えられました。役所におかれている『離婚届』にもこれらの取り決めをしたかどうかをチェックする欄が設けられています。
決めないと離婚ができないというような強制力はありませんが、離婚をしようとする当事者間での取り決めを促し、自覚を求める効果が期待されます。
親としてすべきこと、してはならないことの判断は、子が健やかに成長できるよう『子の利益』を基準として考えなければなりません。
2/24 事務所セミナー報告
「後見制度」ってなんですか?
弁護士 武田志穂
成年後見は、認知症・知的障害などにより判断能力が喪失した人に対して、後見人をつける制度です。
成年後見人は、未成年の子供の両親と同じようなものだと考えてください。本人の代わりに金銭の管理をすることができるようになります。
そして、任意後見制度とは、あなたの判断能力がしっかりしているうちに、この人に自分の財産の管理を任せたいと思っている人と任意後見契約を締結しておく制度です。後に判断能力が不充分となったときに、家庭裁判所が選任した任意後見監督人による監督を受けながら、任意後見人があな
財産の管理などを行うことになります。
後見については、ぜひお気軽にご相談ください。
新刊紹介
借地借家人組合と共同で更新料解決マニュアルを刊行しました
弁護士 田見高秀
今年初めの東京借地借家人組合連合会(東借連)と東借連常任弁護団との会議で、更新料トラブルの相談が多いと聞き、「それなら解決方法の決定版の本を作ろうよ」と言ってしまったのが運のツキで、大変な労力を掛け、約半年で「更新料解決マニュアル その更新料支払う必要ありません」を旬報社出版で、今月、刊行しました。
借地人・借家人の方が読めば、更新料トラブル解決の最善の方法が分かり、即行動できる超実践的な内容(回答書式付き)になっています。
私と松田弁護士が東借連常任弁護団員ですが、事務所の大八木・白鳥・田村・平松・深山弁護士も執筆協力しています。
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