城北法律事務所 ニュース No.68(2013.8.1)
目次
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- 1 (2013年2月19日 事務所セミナーから)成年後見の活用法
- 2 (2013年2月26日 合同セミナーから)セクハラ・パワハラ・メンタルヘルス
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- 1 離婚に関する法律相談後々のためにも弁護士を代理人に
- 2 相続に関する法律相談遺言書の作成でトラブル防止
- 3 賃貸借に関する法律相談値上げと契約期間切れ
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- 1 薬害イレッサ訴訟最高裁が国と企業の法的責任を否定
- 2 "子宮頸がんワクチン"って本当に大丈夫?接種は慎重に
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- 1 福島原発訴訟『生業を返せ、地域を返せ!』
- 2 許されないヘイトスピーチ
- 3 生活保護法改悪案廃案‼生保発足後最大の切り下げに
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- 1 自民党改憲草案を斬る憲法学習会講師 派遣します!
- 2 ノーモアミナマタ第二次国賠訴訟提訴~すべての水俣病被害者の救済を~
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- 1 「池袋派遣村」に参加して
- 2 自衛隊をウォッチする市民の会元防衛大臣らを銃刀法違反で刑事告発しました!
- 3 薬害根絶デーにご参加ください
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- 1 予防接種B型肝炎の個別救済がすすんでいます-さらに再発防止と全ての肝炎患者のために!
- 2 「新外交イニシアティブ」(ND)を注目・ご支援ください
自民党改憲草案を斬る
憲法学習会講師 派遣します!
弁護士 舩尾 遼
城北法律事務所では、6月9日に早稲田大学法学部の水島朝穂教授を講師に招き、「自民党憲法改正草案を斬る」と銘打って憲法学習会を開催しました。
水島朝穂教授は自民党憲法改正草案について、憲法学者として何を置いても阻止しなければならないと力強く講演されました。また、憲法の紙芝居を行ったり、事務局有志による寸劇を交えたりしながら、わかりやすく自民党憲法改正草案の問題点を明らかにしました。特に事務局有志による寸劇は秀逸で、身内びいきを差し引いても素人のレベルを超えた演技をみせてくれました。所員が一丸となってこのような企画を行える点に、城北法律事務所の底力を感じました。学習会には100人以上の方にお集まりいただき、終了後に回収したアンケートでもご好評をいただけました。
今、憲法は戦後最大の危機を迎えています。自民党が公表した憲法改憲草案は世界に類をみない、極めて非常識な内容になっています。憲法の役割を一言でいうと、「国家権力を制限して国民の権利自由を守ること」です。ここでいう「国家権力」とは人権侵害の主体であり、強者であり多数派を意味します。そして「国民」とは、社会的に弱い立場にある者、少数派を意味します。
たとえば、戦前の治安維持法を想起してください。多数派である支配層が、個人の思想、信条に立ち入り、何もしていない者を処罰できる法律です。国家権力は歴史上もっとも国民の権利を侵害してきた主体なのです。徹底的な国家権力に対する不信感から出発した近代憲法は、多数決によっても侵害することができないものがあるとして、少数派を守ることを目的に作られています。つまり、憲法は国家権力を縛ることを目的としたものなのです。ですから、憲法を守らなければならないのは国家であり、国民には憲法を守る義務はないのです。これを立憲主義といいます。近代憲法はすべてこの立憲主義に立脚して作られています。
自民党の憲法改憲草案はこの立憲主義を真っ向から否定するものです。
自民党の憲法改正草案は、憲法を国民を縛るものに変質しようとしています。水島教授は、これを立憲主義不在の憲法改正論として鋭く批判しました。このような、非常識な内容を有する憲法は世界に類をみません。
憲法は決して押し付けられたから改正する、時代に合わないから改正するものではありません。立憲主義の理念を持たない憲法は憲法とはいえません。自民党の憲法改憲草案は全く憲法の本質を理解しない非常識な内容なのです。
城北法律事務所では、このような戦後最大の憲法の危機をうけて、今後も憲法学習会を継続しておこなっていく予定です。また、要請があれば、弁護士が出張して学習会も行います。
今回の学習会に参加できなかった方や、地域で憲法学習会を開催したい方はお気軽に声をかけてください。
ノーモアミナマタ第二次国賠訴訟提訴
~すべての水俣病被害者の救済を~
弁護士 津田二郎
2004年に提訴したノーモアミナマタ国賠訴訟は、2011年3月熊本地裁、大阪地裁、東京地裁で国、熊本県、チッソと、歴史的な和解を成立させました。
国は、水俣病国賠訴訟が拡大するのをおそれ、訴訟中の2009年に水俣病特措法を制定し、「救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済」(同法3条)するとしました。
しかし、国(環境省)、熊本県、鹿児島県は、救済基準をきわめて厳しく運用し、その結果、居住地域や出生年を不合理に線引きし、多数の被害者を救済の対象外としてしまいました。
しかも環境省は、2012年7月、特措法に基づいて給付申請したものの救済対象に該当しないとの判定を受けた者の不服申立を認めないとしたうえ、同月末日をもって特措法の申請受付も打ち切ってしまいました。このことによって、多くの潜在被害者が切り捨てられてしまいました。
そこで、学生時代に現地調査に参加した縁で、私も弁護団に加わり、司法救済と恒久制度の実現をめざして第二次訴訟を提起することとなりました。
どうかご注目ください。