城北法律事務所 ニュース No.68(2013.8.1)

「池袋派遣村」に参加して

弁護士 大川原栄

5月で第11回を迎えた「池袋派遣村」の法律相談担当として久しぶりに参加しました。派遣村に相談に来る方々に対し、世間一般では、おそらく「負け組」「底辺に生きる人」とか言われ、あるいは「がんばりが足りない」と評価されていることが少なくないと思われます。しかし、現実に相談に来る方々に直接会って話を聞いてみれば、好きこのんで今の状態に至った方はまずいない、ということが分かります。何とか現状を改善したいが、その切っかけがつかめないというのが実態です。

テント村を見つめる周辺の方々の目は、予想外していたほど「冷ややか」なものでないと感じたのも少々驚きです。昨今の経済状況から「明日は我が身」ということがありうると思っているのかもしれません。市場経済原理に基づく諸政策が推し進められるなかで、いわゆる「中流」階層が崩壊し、実際に二極化が進んでいることは、誰もが否定しえない事実になっていることの現れなのでしょう。

だから、誰もが、「がんばって富むこと」は否定しないが、それが同時に社会にマイナス現象を引き起こすことがあり得ること、それをカバーするために何ができるのか、何をすべきなのかということを静かに模索しつつ、厳しい現実生活に向き合っているのだということを強く実感した「派遣村」でした。


自衛隊をウォッチする市民の会
元防衛大臣らを銃刀法違反で刑事告発しました!

弁護士 種田和敏

皆さん、自衛隊が創設されて以来、全国各地の基地祭や各種イベントにおいて、自衛隊が小銃や機関銃を市民に触らせていたことをご存知ですか?

憲法9条は、戦力の不保持を規定しています。自衛隊が戦力にあたるかはさておき、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)は、銃の危険性を考慮し、市民が銃に触ることを厳しく規制しています。たしかに、自衛官は、任務遂行に限定して、銃の所持が認められています。しかし、市民が銃に触ることは、銃刀法に違反する行為です。それにもかかわらず、自衛隊は、今年も4月に、練馬駐屯地祭で、市民に銃を触らせることを予定していました。

これに対し、私が事務局長をしている自衛隊をウォッチする市民の会は、特に子どもに銃を触らせることを問題視し、過去の練馬駐屯地祭に関し、元防衛大臣らを銃刀法違反で刑事告発しました。告発の結果、自衛隊は、全国で市民に銃を触らせることを中止しています。

憲法改正が声高に叫ばれる今日この頃。市民目線で、自衛隊の活動をウォッチし、憲法や憲法のDNAを受け継ぐ法律を駆使して、自衛隊をコントロールする活動をこれからも続けていきたいと思います。


薬害根絶デーにご参加ください

弁護士 嶋田彰浩

1999年8月24日、当時の厚生省は薬害エイズ事件の反省をふまえ、再発防止を決意して、この「根絶の碑」を庁舎正面に建立しました。これをきっかけとして、2000年から毎年8月24日に開催されているのが、薬害根絶デーです。

当日、各薬害被害者団体が加入している全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)が、厚生労働省・文部科学省と交渉を行っています。これに合わせ、毎年全国から多数の薬害被害者や、一般市民、学生、支援者、薬害事件に取り組む弁護士などが集まり、厚労省前でのリレートーク・ワークショップ・活動報告・有楽町マリオン前での街頭宣伝などを行うなかで、薬害根絶を訴えています。

日本では、これまでサリドマイドに始まり薬害裁判がなかったときはないほど、薬害がくり返されてきました。最近でも、子宮頸がんワクチンの問題が報道されています。 今年は、8月24日が土曜日のため、8月23日に薬害根絶デーを行います。特に今年は昨年に引き続き一人でも多くの方に薬害の被害の実態を知ってもらいたいと考え、ワークショップを開催し、薬害被害者から直接被害の実態を聞いて交流する機会を設けました。

チラシを同封しますので、ぜひ、ご参加いただければと思います。