城北法律事務所 ニュース No.69(2014.1.1)


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目次

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B型肝炎
肝硬変・肝がん患者に医療費助成を

弁護士 田場暁生

日本のウイルス性肝炎罹患者は、B型・C型あわせて350万人にのぼるといわれ、国内最大の感染症=「国民病」として、その克服は国民的課題です。

他方で、集団予防接種B型肝炎訴訟(私は弁護団員です)・薬害C型肝炎訴訟により、肝炎ウイルス感染に関する国の責任が明らかとなり、感染被害者の個別救済がすすんできました。

しかし、時の経過に伴う証拠の散逸により多数のB・C肝炎ウイルス感染被害者が裁判上の救済を受けられない状態に置かれています。また、輸血に伴いB・Cウイルス感染が広がりました。このようなことから、一定の医療費助成が実現してきましたが、現行制度は不充分で肝硬変・肝がん患者の医療費自己負担額はきわめて高額になっています。

2011年12月制定のB型肝炎訴訟特別措置法の附帯決議や、B・C訴訟団と厚労大臣との協議では、肝硬変・肝がん患者の医療費助成等の支援のあり方を検討するとされており、まさに今、肝硬変・肝がん患者への医療費助成が大きな政治的課題となっています。

肝硬変・肝がん患者の医療費助成はすべてのウイルス性肝炎患者の願いです。ぜひ関心をお持ちいただき、ご支援をよろしくお願いいたします。


震災復興-3・11から3年 私たちは何をすべきか
人権交流集会(宮城・石巻)にご参加下さい

弁護士 津田二郎

私の所属する青年法律家協会も参加する第15回人権交流集会実行委員会は、2014年3月21、22日(祝・土)に宮城県石巻市の石巻中公民館で「震災復興-3・11から3年 私たちは何をすべきか」を開催します。

私は仙台市出身ですが、父は石巻市、母は気仙沼市の出身です。幸い身近な親戚に亡くなった人はいなかったものの、母の実家は津波に呑まれてなくなり、父の実家も津波で半壊したため取り壊されてしまいました。私は今でも不幸の知らせが怖くて友人、知人の消息を深く追求したりはできていません。

さてあの震災から3年目を迎えます。東京はオリンピックが話題ですが、東北地方を中心に太平洋沿岸地域では復興は途上で、仮設住宅から出られない被災者もまだまだたくさんいます。

初日の全体会は基調講演、現場の声を踏まえたパネルディスカッション、二日目の分科会は、今まさに話題になっている人権の最前線の課題について検討します。

一般参加券は500円です。詳細は、青年法律家協会事務局(電話03-5366-1131またはhttp://www.seihokyo.jp/shiryou/15jinken-shuukai-chirashi.pdf)まで。

被災の現場で、被災者の目線で、「復興」の意味するところをご一緒に考えませんか。


福島原発訴訟
この国の在り方を問う訴訟

弁護士 舩尾 遼

国と東京電力に対して原発事故による被害の原状回復を求める訴訟を提起したのが2013年3月11日。800人の原告で始まったこの訴訟も今や原告は2000人を数えるまでに成長しました。

「生業を返せ、元の生活を返せ!」を合言葉に始まったこの訴訟が、福島に居住する多くの市民の共感を得たからこその原告数です。

安倍内閣は再稼働反対を求める国民の声を封じ込め、被害の声を過去のものにしようとしています。さらに、特定秘密保護法をはじめとした悪法を立法し、この国を「戦争のできる国」「世界一企業が活動しやすい国」にしようと画策しています。

圧倒的多数を占める与党のおごりか、そこに「平和な国」「世界一国民が生活しやすい国」を目指す姿勢は見られません。

この国がどのような国を目指すか、利潤追求を第一の目的とし国策民営の果てに事故を起こした原発事故を過去のものとするのか、国民の声を反映して原発を廃炉にし被害者を救済するのか。

この訴訟は、国と東電の責任を問いつつ、「世界一企業が活動しやすい国」か「世界一国民が生活しやすい国」のいずれを取るかを問う訴訟なのです。ご支援をお願いします。


原発被害の回復を求めて
浪江町ADR集団申立支援弁護団

弁護士 松田耕平

晴天の空の下、道路の両脇に雑草が生い茂り、うずたかく積まれた瓦礫、そして横たわる船。この写真は2013(平成25)年12月8日、福島県双葉郡浪江町を撮影したものです。こうした光景は2011(平成23)年3月11日の東日本大震災後、多くの被災地で見られましたが、浪江町は、震災から2年半が過ぎた今も、復興がなかなか進んでいません。その原因が、福島第一原発による放射能汚染被害です。

原発被害の甚大さは多くの方が知るところです。浪江町も例外ではなく、町の全域が帰還困難区域、居住制限区域、避難指示解除のいずれかに指定されたため、町民(約2万1000人)は根こそぎ移動することを余儀なくされました。これにより、浪江町の先人たちが長年に亘り築き上げてきた町独自のコミュニティ(親と子、友人、隣組など人と人との繋がり、文化、風土)が破壊されました。放射能への被曝と健康被害への不安も無視できません。こうした被害の回復や慰謝は遅々として進んでいません。この現状を打開すべく、浪江町民の約7割強である約1万5000人が一団となってADRの申立を行いました。浪江町と町民の方々が受けた被害の実態を克明に描き出し、適切な解決が実現するよう尽力したいと思います。
※ ADR:裁判外紛争解決の手続き