城北法律事務所 ニュース No.73(2016.1.1)

目次

戦争法廃止へ野党は共闘を
たたかいはこれから!

弁護士 菊池 紘

暑い夏の8月30日、国会を包囲する12万人の中にいて、歴史は動くと実感した。安保法制強行採決から2ヶ月の11月19日には事務所のみんなと池袋西口で「戦争法を廃止しよう」と訴えた。そして有楽町線で国会正門前に行くと9000人が道路を埋め尽くし「戦争法廃止!」「野党は共闘!」のコールがこだましていた。

かつて歴史に残る高揚をみた「60年安保」では安保改定の強行で大規模な行動はなくなったが、今はちがう。国会前で、渋谷や池袋で、各地の駅頭で、戦争法廃止の動きが広がっている。空前の1350人と1500人の戦争反対の行動を重ねた練馬では、この3月に3回目のパレードが準備されている。


憲法9条のもとで海外での戦争が許されないのはあまりにも明らかなことだ。今の根本問題は、安倍首相が「最高責任者は私です」「総理大臣ですから正しいです」などと言って戦争する国に突き進もうとしているところにある。だからこそ、国会で憲法学者がそろって憲法9条に違反する戦争法は許されないと述べ、これを聞いた人々がこぞって反対の声を上げ国会行動に出たのだ。

「民主主義ってなんだ! これだ!」のコールは新鮮だったが、そのシールズの若者は言う。「僕は民主主義は立憲主義と絶対にセットじゃないといけないと思うんです。『これだけはやっちゃいかん』という共通の規範や禁止があって、初めてテーブルができて、その上で議論ができると思うんです。」と。そのとおりだ。最高法規・憲法の規制をないがしろにして、海外に派兵し自衛隊員を参戦させようとする安倍政権の暴挙は、平和主義のみでなく、立憲主義を投げ捨てるものでとうてい許されない。


この国を憲法の下にとり戻すために、この夏の参議院選挙とつぎの衆議院選挙で、自民党と公明党を少数にたたき落とし、新しい多数によって戦争法を廃止しなければならない。参議院の1人区や衆議院の小選挙区で野党が統一すれば、自民・公明にうち勝つことができる。こうして今、ちまたでは「戦争法廃止へ向け野党は共闘を」の声が高まっている。

この声にこたえて共産党は「戦争法廃止の国民連合政府」を野党、諸団体、個人に広く呼びかけている。論壇でもマスコミでもこの提案は大きな反響を呼んで、一人区での統一への流れをいっそう強めている戦争法を成立させて海外へ派兵すれば戦後は終わるとも言われてきた。しかし憲法9条は厳としてあり、戦後は続いている。71年目の今年、私たちは引きつづき歴史の転換点のさなかにある。無法な強行採決に従い戦争する国にそのまま転換するのか、これをはね返し海外で戦争しない国をあらためて強固にうち立てるのか、その岐路にある。たたかいはこれからだ。


連続憲法企画のご紹介
「戦争法廃止へ 今憲法9条を学ぶ連続企画」にご参加ください

弁護士 加藤 幸

昨年12月から「戦争法廃止へ 今憲法9条を学ぶ連続企画」と題して、戦争放棄をうたう憲法9条に焦点を当てた連続企画を開催しています。

第1回は、昨年12月9日に、イラク戦争後のイラク民衆の姿を追った「イラク チグリスに浮かぶ平和」の上映会&綿井健陽監督・大山勇一弁護士によるトークショーを開催しました。120名の会場が満席となり、立ち見も出るどの大盛況でした。

第2回は、本年3月3日に「沖縄から憲法・民主主義を問う」と題し、沖縄選出の国会議員である糸数慶子さんとSEALDsで活動する元山仁士郎さんをお迎えして、沖縄の在日米軍基地問題から「憲法・民主主義」を考える企画を開催します。現在、沖縄には在日米軍専用施設の74%が集中しています。沖縄県知事選などの選挙で沖縄県民は「辺野古NO」を表明していますが、安倍政権は沖縄の民意を無視し、米軍普天間基地の「移設」先として辺野古新基地建設を強行しています。安保関連法制でも安倍政権は多くの市民の声を無視して法律を成立させました。選挙で選ばれさえすれば何をしても許されるのか? 市民の声を無視することが許されるのか? 「民主主義」とは何なのか、みなさんと考えたいと思います。

第3回は、東京を飛び出し、「横須賀バスツアー」を開催します。横須賀には在日米海軍基地と海上自衛隊横須賀地方隊が近接して存在し、共同訓練が行われています。横須賀米海軍基地は、原子力空母の事実上の母港となっていますが、もし原子力空母で事故が起これば横須賀だけでなく首都圏全域に放射能被害が及ぶ危険があります。また、横須賀では米軍による犯罪が絶えず、平成18年には飲酒した米兵による残忍な強盗殺人事件も起きています。バスツアーでは、クルージング船で米海軍や海上自衛隊の艦船を海上から見学した後、横須賀の基地問題の現状についての学習会を開催します。時期は本年4月中旬を予定しています。詳細は決まり次第事務所ホームページでお知らせします。

第4回は、「米中関係から読み解く北東アジアの平和」と題し、北東アジアの平和における日本の役割を考えます。アジアの平和に果たして安保法制が必要なのか? 中国脅威論とは安保法制の必要性を裏付ける理由となりうるのか? について、専門家を招いてお話をお聞きする予定です。時期は本年6月頃を予定しています。

今、私たちは大きな岐路に立っています。平和な世界、戦争の無い世界を築くために何が必要なのか、学びそして考えましょう。多くの皆さんのご参加をお待ちしています。