城北法律事務所 ニュース No.74(2016.8.1)

新しい所員を紹介します。

新しい所員を紹介します
個々の事件に真摯に臨む

弁護士 木下浩一

はじめまして。2016年1月7日より、城北法律事務所に弁護士として入所いたしました木下浩一と申します。これからどうぞよろしくお願いいたします。

入所以来、諸先輩方とともに、様々な事件を担当させていただいております。その事件のいずれもが、依頼者の人生に大きな影響を与えるということを強く実感し、その責任の重大さに身が引き締まる思いでおります。

私は、弁護士になる前は司法書士をしておりましたが、登記業務だけでなく、生活保護受給者の方の破産申立のお手伝いをする機会が多くありました。人生で初めて、生活保護受給者の方と接し、その境遇の厳しさを知るにつれ、生活困窮者の方々のために何かをしたいという思いを強くし、様々な法的ニーズに対応ができ、時には寄り添うような弁護士になりたいと弁護士になることを決意した次第です。

また、私は高校時代からの持病があるため、将来、難病の方や障がい者の方のために何かしたいとも考えておりました。弁護士になってからまだ日は浅いですが、難病を患っている複数の依頼者の方から、私の働いている姿を見て励みになるという言葉を頂戴し、そうした方々のためにも頑張らなければならないと気持ちを新たにしております。

そうした経緯から、弁護士になった後は、日々の一般的な弁護士業務とともに、生活保護の問題や障がい者の人権など社会保障の問題に取り組ませていただいております。

社会保障費の削減を目論む与党は、生活保護バッシングを繰り返し、生活保護受給者への怒りを煽っています。また、自民党の憲法改正草案では、家族の助け合い義務が規定されていますが、生活困窮者や障がい者に対して責任を持つのは社会ではなく家族であるとして、自己責任とともに家族責任を強調するようになっています。最低賃金より生活保護費が高いのはおかしい、年金を受給するよりも生活保護を受けた方がマシな状況は不公平だ、財政が厳しいんだから社会ではなく家族を頼れ…与党自ら作り出した貧困の拡大という流れの中で、社会が弱者対弱者の構造に導かれてしまっていると感じます。

「貧困が玄関から入り込むと愛が窓から逃げ出す」というイギリスのことわざにあるように、困窮状態にある人が他者への寛容性を失うというのはやむをえない側面があるのかもしれません。そうした中で、互いに様々な個性・属性を尊重し、ともに生きる社会を作るにはどうしたらいいのか。迷いながらではありますが、個々の事件に真摯に臨むとともに、弁護団活動や憲法の講演に力を入れていきたいと考えております。