城北法律事務所 ニュース No.75(2017.1.1)
目次
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- 1 「憲法の危機」を乗り越えよう憲法9条をまもるため、野党は共同を
- 2 自衛隊南スーダンPKOの危険性緊急講演会を開催
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- 1 『ヘイトスピーチ解消法』「人種差別禁止法」制定へ向けて
- 2 「テロ等組織犯罪準備罪」の危険性と問題点合意が成立しただけで処罰!?
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- 1 自転車の交通事故いざというとき保険の確認を
- 2 遺言と信託の活用解決方法の一つとして
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- 1 池袋派遣村の活動報告昨年も2回開催しました
- 2 第一経理と城北法律事務所第一経理と協力して催し物に取り組んでいます
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- 1 B型肝炎訴訟重症者の医療費助成とB肝新薬の実現をめざして
- 2 国道26号線問題ハッピーロード大山商店街を守ろう!③
- 3 HPV(子宮頸がん)ワクチン薬害訴訟将来への希望を取り戻すために
- 4 原発問題原発事故は収束しておらず被害はまだ続いています
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- 1 ひとこと
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- 1 おうちで焼き芋! ほっこり
- 2 事務局ひとこと
- 3 嶋田彰浩弁護士が移籍しました
「憲法の危機」を乗り越えよう
憲法9条をまもるため、野党は共同を
弁護士 菊池 紘
城北法律事務所はその発足から、憲法9条をまもることを訴えてきました。50周年を記念してみなさんとともに「いま平和憲法とともに立つ-私たちは海外戦争法に断固反対します」の大集会をもったのも、そのためです。
安倍政権は集団的自衛権の行使を認める閣議決定をし、15年9月には安保法制=戦争法を強行しました。これは「たとえ選挙で多数を得た政権・与党であっても、その権力は憲法に縛られるのだ」との立憲主義をないがしろにする暴走として、いま大きな非難のさなかにあります。
こうした批判のたかまりのなかで、昨年の参議院選挙では、11の選挙区で戦争法廃止を求める野党統一候補が勝ちました。9条を投げすてようとする勢力と、これをまもり強めようとする市民とのつばぜりあいのなかでの、快挙でした。そしてまたこの勝利は「憲法9条をまもれ、立憲主義をまもれ」とする広範な市民の声に応えて野党が共同するなら、戦争法を廃止して市民本位のまったく新しい政治へ転換できる、その道筋を示したのです。
今年中には総選挙が予想されるなかで、「野党は共同し選挙をたたかえ」との声がたかまっています。野党が共同するなら、3分の1の壁を超え、憲法改悪を阻むことができます。9条を投げすてようとする安倍政権の野望をうち負かすことができます。今年こそ、流れをかえたいものです。
自衛隊南スーダンPKOの危険性
緊急講演会を開催
弁護士 田場暁生
昨年末、国連平和維持活動(PKO)を行うため、陸上自衛隊第9師団(青森)を主力とした部隊が国連南スーダン派遣団(UNMISS)に派遣されました。一昨年成立した安保法制で、従来のPKO活動に加えていわゆる「駆けつけ警護」などの任務が付された中での派遣です。ここに、「駆けつけ警護」とは、他国の軍隊やNGOから救護の要請を受けた際に武器を持って助けに行く行為をいいます。
当事務所では、一昨年9月の安保関連法成立後も、安保法制の問題点を指摘する連続企画を行ってきましたが、昨年11月、日本ボランティアセンター(JVC)スーダン事務所現地代表の今井高樹さんをお招きして、緊急企画『南スーダンPKO 自衛隊派遣の危険性を問う~現地からの報告~』講演会を開催しました。
講演直前にも南スーダン入りしていた今井さんから、南スーダンでは昨年7月に政府軍と反政府軍の大規模な戦闘があったこと、政府軍には「反政府派をかくまっている」として国連・PKO部隊・NGOなどに対する敵意があり、実際にUNMISS司令部付近を政府軍が襲撃するなど緊張状態が続いていること、誰からの攻撃であるかわからないような状態で襲撃がなされていることなど現地がきわめて危険な状態にあることの報告がありました。日本人研究者も入れず、日本のNGOも撤退し、日本メディアからの情報も限られている中、現地の状況を知る貴重な機会となりました。
日本のPKO活動には、紛争当事者間の停戦合意の存在(①)、当該国等の同意(②)などの原則が要求されています。日本政府は「停戦合意がある」などと強弁していますが、前記のように現地は到底そのような状態とはいえません(①)。また、政府軍との間で武力衝突が発生するような場合、南スーダン政府の同意(②)などあるはずもありません。このような状態で一体「誰を」「どのように」駆けつけて警護しようというのでしょうか。
憲法9条の下、日本はこれまで非軍事部門で国際貢献をしてきました。外交的働きかけや(南スーダンでいえば武器禁輸の国連決議など)、教育支援・復興支援・法整備等国づくり支援等できることはいくらでもあります。私は10数年前アフガニスタンに調査活動に行きましたが、そこでも日本の地雷除去支援活動などが高く評価されていました。やみくもに自衛隊を派遣して隊員の命をもてあそぶのではなく、地に足の着いた実効性のある国際貢献が求められているのではないでしょうか。