城北法律事務所 ニュース No.82(2020.8.1) 創立55周年記念号
目次
弁護士紹介(4)
2002年 入所
松田 耕平 まつだ こうへい
土台を築けるか?
城北事務所も創立55周年を迎えたとのこと。私自身が弁護士になって18年くらいなのですが、その約3倍もの年月を重ねていることになります。「先輩」と呼ぶにもおこがましいくらいの先人弁護士達による活動の積み重ねが今日の事務所の土台を築いているのだと思うと、私も少しばかりは貢献しなくては…と思ったり思わなかったり。。。
私は登録直後に中国「残留孤児」国家賠償請求訴訟弁護団に加わり、これをきっかけに5年目くらいからじん肺・アスベスト訴訟に取り組むようになって、これが現在まで続いています。このなかでも中心的に携わっている「首都圏建設アスベスト訴訟」は、2008年5月の提訴以来既に12年が経っています。闘いの場は最後のステージである最高裁。今年度内にも判決が出ると予想していますが、どのような判決になるのかは全く予断を許しません。ただ、最高の判決を迎えて、これからも続くであろう城北法律事務所の歴史の土台の一つにできたら…と考えたり考えなかったり…な今日この頃です。
2003年 入所
田場 暁生 たば あきお
差別は自分の問題
アメリカ・ミネアポリスで白人警官が黒人を窒息死させた事件を発端に、アメリカそして全世界で差別反対のデモ等が行われています。
言うまでもなく、日本にも在日朝鮮人や部落差別などをはじめ、差別は厳然と存在します。私の父方の祖父母は沖縄出身ですが、その関係で私も差別を受けたことがあります。10年ほど前にワシントンDCのロースクールに留学したときもアジア人に対する差別を感じました。
ところで、差別されている人と良好な人間関係を築く上で、その人の属性を「関係ない」とする(善意からの)表現を度々耳にすることがあります。しかし、黒人であること、在日であること、沖縄の血を引くことは、その人にとってのアイデンティティであり、歴史であり、大いに「関係がある」ことです。
城北法律事務所は創立から55年、様々な差別と闘ってきましたが、差別は自己が生きている社会で起きている不条理であり、そのような社会を克服できていない自らの責任・問題であることも忘れずに生きてゆきたいと思います。
2004年 入所
津田 二郎 つだ じろう
城北法律事務所創設55周年に寄せて
創設55年を迎えた今、世の中では「戦争法」や「共謀罪」が成立し、検事総長ら検察幹部の定年延長に内閣の判断を介入させようとする検察庁法の改正問題が発生し、新型コロナウイルスの蔓延に伴う外出の「自粛」、政府の感染防止対策の遅れを法体系に責任転嫁する憲法改正による緊急事態条項の創設の主張が叫ばれています。憲法の価値観が戦前に巻き戻される危険な状況です。
しかし、戦争法や共謀罪の審議に際して、多くの市民の抗議の声が国会前にあがりました。新型コロナ禍における補償を求める声が一律給付金の創設につながりました。検察庁法改正に反対するSNS上の声の広がりが5月強行採決を食い止めました。
市民の力は時代にふさわしい形に変化していると感じます。
私は、現在東京弁護士会の憲法問題対策センターの委員であり、4月からは事務局長を拝命しています。2020年2月には小学校で「基本的人権」をテーマに講演も経験しました。今後も引き続き、日本国憲法を守り育てる活動に尽力したいと思います。