城北法律事務所 ニュース No.83(2021.1.1)

所員からのひとこと 明けましておめでとうございます

工藤 裕之

今年は弁護士登録して満30年になりますが、相談を受けるたび、やはり十分な法的知識が必要だと思うことがよくあります。

昨年(2020年)4月にも大きく改正された民法が施行されました。この大改正は、債権法や時効に関して従来の取り扱いを大きく変更するものでした。

ですから、それなりに長い弁護士経験に安住せず、新たな知識も吸収して、気力、体力をより充実させて、依頼者の皆さんの権利、利益を実現するために頑張りたいと思います。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

大八木 葉子

カラフルな丸いSDGs(エス・ディー・ジーズ)のピンバッチをつけた方を時々見かけます。

SDGsとは、持続可能な開発目標のことで、2015年の国連サミットで採択され、2016年から2030年までの15年間に達成するために掲げた目標です。「誰一人取り残さない」ことを誓っているそうです。17の大きな目標があり、その目標には、3、すべての人に健康と福祉を、5、ジェンダー平等を実現しよう、10、人や国の不平等をなくそう、16、平和と公正をすべての人に、など様々なものがあります。

日本でも様々な取り組みがなされており、私もじっくりと考え、できることから取り組んでみたいと思っています。

武田 志穂

アメリカ大統領選、なんとかバイデン氏が勝利しました。日本人でも関心をもって見守っておられた方が多いのではないでしょうか。

私がバイデン氏に最も期待しているのは、環境問題への対応です。近年、本当に自然災害が増えていると思います。日本の菅総理も2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すと宣言しましたが、アメリカにも早期にパリ協定に復帰し、共に持続可能な社会(地球環境や自然環境が適切に保全され、将来の世代が必要とするものを損なうことなく、現代の世代の要求を満たすような開発が行われている社会)の実現を目指して共同歩調をとってもらいたいと思います。

平松 真二郎

「茶色」の朝を迎えないために。

2020年10月17日に実施された中曽根元首相の内閣・自由民主党合同葬に際して、文科省は各都道府県教委に対し各学校等において弔旗の掲揚等を求める「要請」を行いました。

そもそも、中曽根氏に対して弔意を持つかどうかは、すぐれて個々人の内心の自由にかかわるものであって、弔意の表明を「要請」される筋合いのものではありません。「要請」を断ることを通じて個人の政治観や歴史観を推知されることにもつながります。このような「要請」自体、憲法19条の保障する思想・良心の自由を侵害するものと言わなければなりません。

学問の自由を侵害する学術会議会員任命拒否の問題と重なり、個人の精神的自由への権力の介入が一段と進んでいることに抗議をし続けないといけないと思います。

野口 景子

民事訴訟のIT化が進められています。まずは裁判所に行かず、パソコンのモニター越しに裁判官や相手方代理人と顔を合わせるウェブ会議が開始されました。コロナ禍の中、裁判所に行く人を減らすのにも貢献しています。

確かに、裁判所まで出向かずに済む分、時間や交通費の負担は軽くなります。しかし、IT機器やIT技術が不十分な人が置き去りにされないのか、慎重な議論も必要です。数十万円の残業代の支払いや貸金の返還などを求めて自分で訴訟を起こす人は少なくなく、IT化が強制されてしまうと、こうした人の裁判を受ける権利が蔑ろにされかねません。便利なところは取り入れつつ、基本的人権を後退させることのない制度設計が求められています。

結城 祐

入所以来、東京土建一般労働組合練馬支部様の顧問を務めさせていただいております。毎月第2月曜日に定例相談会がございますが、請負報酬の未払のご相談が多いです。簡単な見積書あるいは請求書しかないがゆえに、請負報酬に関する合意がないと争われ、裁判になった際の費用・時間といったコストと天秤にかけ、中には泣き寝入りを強いられる方々を目の当たりにしてきました。 

そこで、組合員の方々の利益を契約書により保全するため、令和2年11月27日に契約書学習会を開催し、今年4月の民法改正の内容も含めて契約書に記載すべき事項をお話させていただきました。皆様もお気軽に契約書についてご相談ください。