城北法律事務所 ニュース No.83(2021.1.1)

<事件報告>特定整備路線(道路問題)

弁護士 湯山 花苗

1. 特定整備路線補助26号線

コロナ禍で延期となっていた裁判ですが、2020年11月5日、ついに原告らの尋問がおこなわれ、それぞれの原告らが訴訟に取り組むうえでの「想い」について語ってくださいました。署名集めや、商店街を戸別訪問して話を聞いてまわった話、説明責任が果たされぬままに進んでいく計画に議員として取り組まれた話があり、弁護団がたたかえるのも、このような原告の方々あってのことだと改めて感じました。地権者の原告が今までの人生をハイライトで振り返る笑いあり涙ありの尋問には、当事者席や傍聴席から声があがり、裁判長から静粛にとたしなめられるひとこまもありましたが、無事に証拠調べは終了しました。

2. 特定整備路線補助86号線

86号線も、証拠調べの準備をしていたところでした。しかし、原告らが東京都に対しておこなった情報公開請求により入手した資料から、当職らが新たに、本件道路の計画遂行の困難性や地盤沈下のおそれ、擁壁設置の未計画部分の存在などを指摘したところ、裁判所は「詳細かつ本質的な指摘であり、国・東京都は反論を、その次に原告らが再反論をしてから証拠調べを実施すべきだと考えている。」として、尋問は先送りとなりました。裁判所が、今まで以上に、提出された資料に関心を持っていることが感じられました。弁護団としても一層力が入ります。

道路建設ありきで、地域の実情を無視し、住民の意見を反映されずになされた事業認可の違法性を厳しく追及していきます。

引続き、ご支援をお願いいたします。