城北法律事務所 ニュース No.84(2021.8.1)
目次
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- 1 改正憲法改正手続法が成立~公正・公平な国民投票実施にはまだ大きな問題が残る~
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- 1 立ち上がって声を上げる人々‥‥大震災と福島第一事故からの10年
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- 1 マンション管理のご相談はいかがでしょうか
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- 1 入管法改正案廃案難民認定申請者への適正手続きの保障こそ必要
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- 1 ご注意「働き方改革」2023年4月から中小業者も1か月60時間超の時間外労働の割増率が50%に
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- 1 <事件報告>訴訟の現場をゆく ~第2回・赤羽編~
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- 1 <事件報告>建設アスベスト訴訟~13年の激闘の末、最高裁で勝訴!政策転換へ!!~判決をてこに国の被害補償制度を創設 一方課題も~
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- 1 <事件報告>全国B型肝炎訴訟で最高裁逆転判決~最初の発症から一定期間が経過した被害者の権利救済に道~
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- 1 <事件報告>無拠出の障害年金の逸失利益性障害者が交通事故で死亡「もらえたはずの障害年金は損害にならない」でよいのか
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- 1 弁護士に聞きたいどうして弁護士になったの?
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- 1 <法律相談>会社が倒産しても経営者(保証人)は破産しなくてもすむ場合があります~『経営者保証ガイドライン』の利用について~
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- 1 普通賃貸借契約から定期賃貸借契約への変更要求を断れるか~大家さんから定期賃貸借契約への変更を迫られています~
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- 1 所員からのひとこと
ご注意「働き方改革」
2023年4月から中小業者も1か月60時間超の時間外労働の割増率が50%に
弁護士 津田 二郎
2019年に成立した、いわゆる「働き方改革」では、長時間労働の抑制のため、これまで大企業だけが対象だった1か月当たり60時間超の時間外労働の割増率50%の対象をすべての企業を対象とすることとしました。これは、割増率を高くすることによって、企業に対して長時間労働の場合の金銭負担を重くして、企業の側から長時間労働を抑制する施策を具体的にとるように期待したものです。
もっともこれを直ちに実施しては混乱が生じかねないので、準備期間を設けており、実際の実施は2024年4月1日からとなります。ここで重要なのは、これまで長時間労働が常態化しているような職場では、長時間労働是正のための手立てを労使が協力して準備しておくことです。
使用者側は、漫然と「残業しないようにね」というだけではなく、具体的に残業しなくてすむように労働者の業務量を把握したうえで、調整する必要があります。長時間労働が常態化しているなら新規雇用も検討されてよいと思います。新規費用のコストよりも残業代のコストや万が一労災が発生してしまった場合の対応コストの方が高くつく可能性があります。
労働者側も、長時間労働になっている現状を整理したうえ、その原因を究明して使用者に残業を減らす方策を提案すべきです。単に労働時間を減らすだけではなく、労働条件向上のための一環と捉えて、労働組合を中心に積極的に取り組むべき課題だと思います。それでも1か月60時間を超えて残業をした場合には、この変更を踏まえて、50%の割増率が適用されているかを検証し、適正な賃金が支払われるように要求すべきです。
まだ先の話だ、などと思わずに、労使ともに今から十分に時間をかけて準備を進めるべきだと思います。