城北法律事務所 ニュース No.85 2022 新年号 (2022.1.1)
目次
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- 1 特集 新型コロナウイルスと憲法
- 2 自粛と補償
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- 1 『緊急事態条項』と改憲の必要性
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- 1 <事件報告>建設アスベスト訴訟・新局面へ国による給付金制度の開始と建材メーカーに対する新規提訴
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- 1 <事件報告>ハッピーロード大山商店街を守る取り組み─控訴審に向けて─
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- 1 <事件報告>労働事件 労使問わず事件の早期相談・依頼がよい解決の近道
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- 1 遺言書作成しませんか─ご事情に応じた遺言書作成のお手伝いをしております
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- 1 <法律相談>交通事故の被害者になったら交通事故で賠償請求できる損害と注意すべき点
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- 1 <法律相談>重要法改正相続登記等が義務化されます
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- 1 弁護士に聞きたい どうして弁護士になったの?小さい自分の力を最大限に発揮できる職業だと考えて
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- 1 借地借家のご相談はお任せください─よくあるご相談について─
- 2 債務が多額な場合の相続と相続人が損害を受けない手続き─限定承認と相続財産の破産─
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- 1 所員からのひとこと
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- 1 城北法律で50年あまり国労池袋のたたかい、そして坂本堤さん
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- 1 走り続けて50年の菊池弁護士へ
- 2 署名のお願い
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- 1 フードバンクとSDGs~豊島区や文京区などのボランティア活動に触れて~
<法律相談>重要法改正
相続登記等が義務化されます
弁護士 木下 浩一
1 はじめに
2021年4月、相続登記等を義務化する法案が可決・公布されました。法律として効力を生ずる「施行」時期は3年以内を目処とするとされており、2024年の施行が見込まれています。したがって、まだ時間的な余裕はありますが、重要な法改正ですので、早めにご紹介させて頂きます。
2 改正の経緯
従来、相続人は、相続登記を申請する義務は無く、したがって登記申請の期間制限もありませんでした。他方で、登記申請に手間や費用がかかることから、相続人による相続登記申請がなされず、登記簿を見ても実際の所有者やその所在が直ちに判明しない「所有者不明土地」が、公共事業や民間での土地取引等で大きな問題となっていました。
3 改正の内容
そこで、このような事態の発生予防の観点から、法改正後は、相続の開始を知って、かつ、不動産の所有権を取得したと知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならなくなります。正当な理由なくこれを怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります(なお、施行時期や期間制限等が異なりますが、登記名義人の氏名・住所等の変更登記の義務化も定められました。)。
このように、相続人には登記申請の義務が課される一方で、相続人申告登記という新しい制度が設けられる等手続の簡略化も定められています。また、登記申請には、基本的に登録免許税がかかりますが、費用負担軽減の観点から、今後、税制改正が行われる可能性もあります。
4 早めに専門家へご相談を
上記は限られた紙面の中で極めて簡略化したご紹介です。相続が発生した際には、この他、相続放棄や準確定申告等、数ヶ月単位で期限の定められているものもございますので、早めに専門家にご相談されることをおすすめします。