城北法律事務所 ニュース No.86(2022.8.1)

目次

弁護士に聞きたい どうして弁護士になったの?

弁護士 田村 優介

大学3年頃に進路を考える時までは、弁護士など全く考えていませんでした。

高校生の頃は、趣味として小説や音楽などが好きなことと、社会問題を考えるツールとしては社会学や心理学などに関心があったため、文学部に進学することにしました。

貧困や格差、労働問題、ジェンダー問題などにも本を読む程度ではありますが関心はありましたが、そういった問題を取り扱う仕事として弁護士がある、という認識自体があまりありませんでした。

将来のことは大学で勉強しながら考えれば良いや、という感じで、まあおそらく企業に就職するのであろう、程度のことを漠然と考えていました。

大学では結局「社会心理学」を専修し、卒論では非正規雇用を選ぶ人の多くは「働き方は自発的に選んだ」とアンケートには回答するけれども、それは真に自発的と言えるのか、ということをテーマに書きました。

大学の時は関心の赴くままいろいろなところに行きましたが、イラク反戦サウンドデモに参加してみたりして、表現の自由についても興味を持つようになりました。

大学3年のとき、周りに合わせて就職活動をするか、となって日本の企業のことをいろいろ調べましたが、長時間労働、サービス残業、過労死、過労自殺などの問題ばかりが目につき、こんなところで働くのは嫌だ、むしろそういう問題を世の中からなくすことを仕事にしたい、と考えました。

社会心理学などを研究することで問題解決のためのサポートをすることもあり得るし重要な仕事とは思いますが、一番直接に現場で問題を解決しているのは弁護士だ、ということに気づき、ちょうど法科大学院制度がスタートし、他学部出身者歓迎、7割合格、などの宣伝文句に釣られてロースクールに進学し、司法試験に合格し弁護士になりました。

しかし、労働問題などに取り組む弁護士になりたいとは思っていましたが、実際にそのような弁護士になる方法はロースクールに通っていても全くわからない状態で、そのような弁護士と知り合いになることも全くできないまま卒業、司法試験の日が到来する状態でした。

ところが、司法試験の日、会場の前で、現在所属する城北法律事務所の弁護士(加藤幸弁護士)から勉強会のチラシをもらったことから、各種の勉強会に参加し、その年は司法試験に不合格でしたが翌年無事合格し、事務所に入所するに至ったというエピソードがあります。

早いものでもう弁護士12年目、事務所所属も同じく12年目となりましたが、今も労働事件に積極的に取り組むということはなんとか続けられているかと思います。

改めてこの原稿を書き過去を振り返り、初心を思い出して、今後も各業務にしっかりと取り組んでいきたいと思いました。