城北法律事務所 ニュース No.86(2022.8.1)

目次

<事件報告>アパート・マンション所有者の方へ
~賃貸住宅管理業法の施行にあたって~

弁護士 小薗江 博之

弁護士 小薗江 博之

2年前の事務所ニュースで、投資用マンション販売詐欺の記事を掲載しました(2019年夏「新手の詐欺にご用心~受任事件から~」)。今回はそれに続いて2020年12月15日より「賃貸住宅管理業法」(サブリース新法)が施行されましたので、実際の相談をご紹介いたします。【相談 1】
親から相続したマンションがありますが、不動産管理会社C社に管理をお願いしたところ、C社が、表紙に「管理契約書」と書いた契約書を用意してきました。
近い将来売却するとき解約できますか、と質問したところ、期間3年で、期間満了の3か月前までに更新しないと文書で示せば、契約は終了します、との説明でした。そこでC社に管理をお願いしました。
ところが3年後、期間満了の3か月前までに更新しないと文書で示しましたが、C社は、借地借家法が適用されるサブリースなので、解約できませんと終了を拒否されました。

年前の事務所ニュースで、投資用マンション販売詐欺の記事を掲載しました(2019年夏「新手の詐欺にご用心~受任事件から~」)。今回はそれに続いて2020年12月15日より「賃貸住宅管理業法」(サブリース新法)が施行されましたので、実際の相談をご紹介いたします。

【相談 1】

親から相続したマンションがありますが、不動産管理会社C社に管理をお願いしたところ、C社が、表紙に「管理契約書」と書いた契約書を用意してきました。

近い将来売却するとき解約できますか、と質問したところ、期間3年で、期間満了の3か月前までに更新しないと文書で示せば、契約は終了します、との説明でした。そこでC社に管理をお願いしました。

ところが3年後、期間満了の3か月前までに更新しないと文書で示しましたが、C社は、借地借家法が適用されるサブリースなので、解約できませんと終了を拒否されました。

【相談 2】

D社が、家賃保証をすると約束したので、アパートの一括管理をお願いしたところ、数年して一方的に家賃減額をされ、ローンの返済計画に支障が生じました。D社からは、借地借家法が適用されるサブリースなので減額できると説明されました。

〔解 説〕

相談例のようにアパート・マンション所有者(これから投資マンションを買う人も含みます)に対し、管理会社が、支払うべき家賃に関するリスク(例:将来的に家賃の額が変更される可能性)、リース契約の解除の条件(例:賃貸人からの解約には正当事由が必要)等を明らかにしないで、管理契約(マスターリース契約)を締結する悪質な事件が頻発しました。

このような悪質な不当勧誘により、所有者が契約内容等を理解せず、誤認したままでのマスターリース契約締結によるトラブルを規制するため、新法が施行されました。その骨子は以下のとおりです、

(1)誇大広告の禁止(法28条)

定期的な家賃の見直しがある場合にその旨及び借地借家法第32条適用による賃料減額の説明が必要なことが明確化された。
(2)不当勧誘の禁止(法29条)

家賃減額リスクや、契約期間中のサブリース事業者からの契約解除の可能性、借地借家法28条によりオーナーからの解約には正当事由が必要であること等について伝えず、サブリース事業のメリットのみを伝えることが不当勧誘に該当することが明確化された。

(3)重要事項の説明(法30条)

ア 契約締結前に重要事項の説明。借地借家賃貸経営不動産管理士等の署名・捺印をし、書面の交付をする。

イ 借地借家法第28条(更新拒絶等の要件)についての国土交通省の解釈を記載する。

新法ができる前の相談1と2のケースは、悪質な業者は争って来る可能性があります。私が担当した1のケースは、地裁は、借地借家法が適用されることにこだわったため悪質業者が勝訴しましたが、高裁では契約解約を認める逆転判決を勝ち取りました。

最後に、これから管理を委託しようとする方は、契約する前に、不明な点は弁護士にご相談下さい。