城北法律事務所 ニュースNo.88 2023夏号(2023.8.1)

所員からのひとこと
暑中お見舞申し上げます 2023 夏

阿部 哲二

私が顧問をしている企業に豊島区の公園や道路の清掃を請負っているところがあります。働く大半の方は80歳以上。最高齢は85歳。年金だけでは暮らしていけない、健康も考え週に2日は外で働きたいなどです。この企業は、働く人が出資者となって持分を取得する企業組合という形で運営し始めてから24年になります。みんなが従業員兼オ―ナーです。先日、1年に1回きちんと開かれる定時総会に出席しました。今年度も何とか仕事は確保出来ましたが、物価は高騰しているのに入札の最低価格は引き上げられず厳しい状況は続きます。それでも、80歳を超えて尚働き続ける人達に会うと元気が出ます。私もまだ、頑張ります。

大山 勇一

私が事務局長を務めている日本民主法律家協会(日民協)は、毎月「法と民主主義」という機関誌を発行し、毎号多様なテーマで特集記事を組んでいます。5月号「性的マイノリティ・人権論の視点から」は好評をいただいております。6月号「入管法『改正』案をめぐる諸問題」は時宜に適したテーマとなりました。7月号「再審事件の動向と再審法改正実現へ向けて」は、現在編集作業中です。1月号の「勝訴・敗訴判決から学ぶ裁判所の構造的な問題」は、昨年の研究集会をまとめたもので、司法の問題点を掘り下げています。一般の書店に置いていないことが多いため、ネットでのお申し込みになります。ご興味のある方は、「法と民主主義」で検索してみてください。

加藤 幸

数カ月前からジャンガリアンハムスターを飼い始めました。ハムスターの保護団体から譲り受けた女の子です。

ハムスターは警戒心が強いため、迎えた当初は、警戒してなかなか姿を見せてくれませんでしたが、毎日お世話をしているうちに慣れてきて、今では、名前を呼ぶと顔を見せてくれたり、手を出すと手に乗ってくれるようになりました。夜行性のため、日中は眠っていますが、夜になるとケージ内を散歩したり、回し車を回したりと、かわいい姿を見せてくれます。
家族全員、毎日、愛らしい姿に癒されています。当初は関心の低かった夫まで、毎日、ケージにハムスターの様子を見に行くようになりました。ペットの癒し効果に驚く毎日です。

菊池 紘

広島の7か国首脳会議で合意された「核軍縮に関するG7広島ビジョン」は「核兵器のない世界」を究極の目標として先送りし、公然と「核抑止」に固執するものでした。いざという時には広島、長崎のような惨禍をためらわないという立場を高言するものです。被爆者からは「死者に対する侮辱だ」と怒りの声が上がりました。そして岸田首相は92か国が署名した核兵器禁止条約を拒んで、核廃絶を求める国際世論に背を向けています。

20歳・大学3年の熱い夏に大江健三郎の「ヒロシマノート」を読んで第10回原水爆禁止世界大会に参加し、被爆者の訴えを聞きました。衝撃でした。この体験がそれからの僕の人生を決めました。あらためて今回の広島サミットの茶番に怒りをもちます。

工藤 裕之

日本政府は、なぜ軍事だけ「国際水準」なるものを持ち出し、人権には国際水準に立たないのか。強い憤りを覚える。日本政府は、選択的夫婦別姓、LGBT、難民認定等々人権に関わる問題は国際水準を明確に拒否する一方、国際会議では盛んに「法の支配」、「人権」を喧伝する。「法の支配」は人権保障のために国家権力の権力行使を縛る概念なのに、誤用も甚だしい。日本国憲法施行から76年、この重大な矛盾、本当に何とかしたいと地団太踏んでいる。
 

久保木 太一

司法試験予備校「伊藤塾」早稲田校の講師を、この4年間ほど務めております。主に早稲田大学に通う学部生を対象に、大学在学中の予備試験合格を目指した指導を行っています。予備試験に合格すると法科大学院を卒業することなく司法試験を受験できます。ちなみに、私が担当している科目は、刑事訴訟法、民事訴訟法、行政法、会社法、民事実務基礎、刑事実務基礎です。

担当した生徒から合格報告を受けることが何よりの喜びです。大学在学中に予備試験に合格できるのはほんの一握りです。そうした生徒は、司法試験合格後、弁護士にせよ検察官にせよ裁判官にせよ、ほぼ望んだ進路に進めることでしょう。

将来の法曹を育てるということは、将来の社会を創るということです。とてもやりがいを感じています。

武田 志穂
最近も、相続関係のご相談を多く受けています。よくテレビなどでは「トラブル防止のため、遺言書を作成しておきましょう」というようなアドバイスをコメンテイターの方などがされていることも多いですが、もし遺言書を作成された場合は、その内容についてあらかじめ相続人達にお伝えになっておくことをお勧めします。なぜなら、相続人が死後初めて遺言書の存在を知った、という場合、「こんな遺言書があるなんて聞いてない。誰かがいいように書かせたのではないか」という疑いが持たれ、かえってトラブルを招いてしまうことがあるからです。せっかく作成した遺言書がトラブルの原因にならないようにしたいものです。

津田 二郎
憲法改正が必要だと言われ始めて、改正できないまま約20年経ちました。憲法改正の緊急性はなかったようです。

さて、憲法が禁止しているのは①人権侵害と②戦争です。憲法改正が必要という場合、ここが変えられるのではないかと警戒する必要があります。

憲法は人権侵害と戦争以外のことは応援する立場です。高等教育、給食費の無償化、子どもの医療費の無償化など憲法に書いてなくてもできることはたくさんあります。

憲法は、自由や権利を「不断の努力」によって保持しなければならないとして(第12条)、誰かに任せておけば大丈夫という考え方を戒めています。主権者である国民(前文、1条)には、選挙で意思表明をするほか、当選した議員の言動を監視し、意見を届け、よりよい社会をつくるように叱咤激励することが求められているのだと思います。

野口 景子

はたと気付くと、今年1月に弁護士登録から丸10年が過ぎていました。私が弁護士1~2年目の頃は打合せ室をトコトコと歩き回って遊んでいた依頼者のお子さんがもう中学生になるくらいの時間があっという間に過ぎたという感覚です。この10年間だけでも、債権法・相続法、空き地・空き家に関する法律などの民事分野から刑事法、税制まで、大きな法改正がいくつもありました。お子さんたちが成長するスピードにはとてもかないませんが、地道に情報をアップデートし、事件を通じて経験を積みながら、弁護士として成長し続けられるよう、そして、依頼者のみなさんとそのご家族のご負担・ご不安を少しでも軽くできるような仕事を心がけていきたいと思う今日この頃です。

平松 真二郎

4月15日にNHK教育テレビで「誰のための司法か~團藤重光最高裁・事件ノート」が放映されました。そこでは、航空機騒音被害を訴える住民らが国を相手取り夜間の飛行差止と損害賠償を求めた「大阪空港公害訴訟事件」において、審理していた最高裁第一小法廷の裁判長に対し、「法務省側の意を受け」た元最高裁判所長官が大法廷への回付を求めていたことが明らかにされました。事件は、飛行差止を求める住民の請求を却下する大法廷判決で決着しました。第一小法廷が判決を下していた際の結果は分かりませんが、明らかになった元長官の介入は、裁判の公正・公平・中立、司法の独立を脅かすものであり決して許されるものではありません。

松田 耕平

趣味の一つの音楽鑑賞、ここ数年はHipHopやレゲエなども好んで聴いています。好きになるとライブにも行きたくなるもので、先日、HipHopのライブに行く機会が。HipHopとなると、ダボダボの服装に、斜めに被った帽子と金のネックレス、タトゥーなどを勝手にイメージしてしまい、「同じような格好をしないと浮いてしまうだろうか…」と悩むことしばし。さすがにタトゥーは無理、金のネックレスや帽子も持っていないということで、ゆったりとした服装のみで参加しましたが、いざ参加すると色々な外見の人がいて、それぞれが楽しんでおり、やはり外見より心(ハート)が大切だと実感した次第です。今後、打ち合わせ等で「そうなんですYo !」とか言い出したら、「こいつ、染まっとるな…」と生暖かい目で見守って下さい。


田見高秀弁護士退所のご挨拶

1999年から在籍しておりました田見高秀弁護士は弁護士登録を抹消し本年7月末をもって退所いたしました。