城北法律事務所 ニュースNo.88 2023夏号(2023.8.1)

弁護士に聞きたい どうして弁護士になったの?
正義のヒーローに、なれる! かな??

弁護士 深山 麻美子

小さいころから臆病な子でした。小学生のころか、近所の女友達と一緒の学校の帰り道、近所の男の子たちからからかわれることが何度かありました。私は、帰宅するやいなや、泣きながら母に被害(!)を訴えました。心配した母がその女友達に仔細を聞こうとしたところ、その女友達は、例の男の子たちと何事もなく楽しそうに遊んでいて、母は口あんぐり状態になったそうです。

そんな臆病な子も、心の中では、正義(復讐?)のパンチをその男子たちに食らわせたいという気持ちがなかったわけではない、、、どころか執念深く持ち続けていました。

その正義のパンチを食らわすチャンスはついぞ訪れませんでしたが、パンチとか、復讐とかではなく、もっと正々堂々として、晴れ晴れとした、正義を貫ける方法はないかと、ひそかに考えていました。

弁護士という職業は、どうも、法律を武器に、悪いやつや、間違ったことを正す、正義のヒーローっぽいぞ(非暴力だし、なんだか正々堂々としてるし)、と思い込んだのは何が原因なのか。たぶんテレビドラマか何かの影響でしょう。新聞で冤罪事件や薬害の報道を知って、憤慨したのも理由でした。

以後、弁護士になって、法律を駆使して世の中の不正や不合理をばっさばっさと解決することが私の夢になり、法学部に進学し、司法試験を目指しました。

法律の勉強を始めてみると、その用語の難解なことや、実生活ではほとんど経験のないことを抽象的に学ぶことの難しさに辟易しました。当時の司法試験は、5月の短答式から始まるため、世間は楽しいGWだが、司法試験受験生には追い込みの真っ最中。5月に盛りのつつじの花は、今でも短答式の重圧を思い出させ、長らく楽しめませんでした。7月は灼熱の暑さの中(クーラーはない)の、3日にわたる論文試験。苦行でした。他方で、気心の知れた試験仲間との勉強会は充実感があり、7月の論文式が終わったあとのキャンプや小旅行などは大事な思い出になっています。

ようやく念願の弁護士になりましたが、現実には、テレビドラマのように、1時間で都合よく解決できることはほとんどありません。相談者の話しを何度も聞き、法律を使ってどう解決していくかを何度も考え、試行錯誤のうえで、何とか解決に導いていくという、地道な作業の積み重ねです。夢見た弁護士像とはたいぶ違ってはいますが、正義のヒーローのかけらくらいには近づけていけるかな、と思っています。