城北法律事務所 ニュースNo.90 2024夏号(2024.8.1)

詐欺にご注意
おかしいと思ったらすぐに周りに相談を

弁護士 和田 壮一郎

最近では、投資詐欺、ロマンス詐欺といった様々な手口の詐欺が生まれ大きな被害が生じているようです。ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリなどを通じて出会った者と実際に直接会うことなくやりとりを続けることで恋愛感情や親近感を抱かせ金銭等をだましとろうという手口です。具体的な例を紹介するとまずは、恋愛感情を抱かせるようなメッセージを続け、関係性を作ってから結婚したいからその結婚資金を稼ごうなどといい、投資などに誘導し送金するように働きかけます。その後、投資で利益が出ているように見せかけて信じ込ませ、さらに投資を続けさせます。最後には、相手と連絡が取れなくなりだまされたことに気が付くというものです。

最近は相手が外国人や外国居住のセレブのように経歴を偽ることもあります。SNS上に公開された写真や翻訳アプリ、AIなどを利用すれば、簡単に他人になりすますことができてしまい、メッセージだけではなく、ビデオ通話なども加工すれば本物のように見えてしまいます。

実際に会っていない人からお金や投資の話をされたら普通であれば気が付きそうですが、恋愛感情を抱いていると判断が鈍り、2人の将来のためだからとお金を振り込んでしまう例が後を絶ちません。投資やお金の話が出たら立ち止まって考える必要があるでしょう。

投資詐欺は、インターネット上に著名人の名前・写真を悪用した嘘の投資広告を出したり、必ず儲かる方法を教えますなどとメッセージを送り、SNSに誘導し、投資に関するメッセージのやり取りを続け、被害者を信用させ、最終的に投資の名目でネットバンキングなどの手段で金銭等を振り込ませる詐欺です。近年は著名人などになりすました詐欺広告が作られることもあります。ある日突然、投資のLINEグループに招待され、だまされてしまったという例もあります。

どちらの詐欺についても騙されたことに気が付いても証拠がない、そもそも相手方がわからないなどの理由で金銭の返還を求めることは非常に困難な事件が多いことが現実です。最近では、国際ロマンス詐欺に引っかかった人をターゲットに必ず金銭を取り戻せると謳う広告を出す業者や、同業としては悲しいことですが悪徳業者と結託した弁護士もおり、その回収の手数料や着手金と称してさらにお金を取られるという被害も後を絶ちません。

私たち弁護士は様々な分野で被害を受けた方を救済することを仕事としていますが、防げる被害は防ぐに越したことはありません。少しでもおかしいと思ったら相談に来ていただければ詐欺と気がつく手助けはできるかもしれません。