城北法律事務所 ニュースNo.91 2025新年号(2025.1.1)

所員からの ひとこと
明けましておめでとうございます 2025年

阿部 哲二

竹内浩史さんという現職の裁判官が国を被告とする裁判を起こしました。地方への転勤により最大年収の2割近くまで地域手当に格差が生じるのは憲法違反だというものです。中味は勿論、国を訴える勇気と憲法に忠実な裁判官としての独立した良心がすばらしい。東日本大震災の津波による原発事故で古里から避難した多くの方が国の責任を問う裁判を起こしました。いくつもの裁判所で、国の責任が認められていたのですが、2年前最高裁が国の責任を否定すると、それ以降は地裁、高裁で国の責任は全く認められていません。最高裁に忖度し、裁判官の良心はどこかに行ってしまったのです。冤罪判決は検察官だけが作り出すものではなく、こうした裁判官も加担してきているのです。

大八木 葉子

昨年10月30日、東京高等裁判所は、同性同士の結婚を認めない法律の規定について、法の下の平等を定めた憲法14条と、個人の尊厳と両性の平等に基づく家族法の制定を定める24条2項に違反するという判断を示しました(国に賠償を求める訴えは退けられています)。全国で6件起こされた同種訴訟2件目の高裁判決であり、高裁判決はいずれも憲法違反という判断をしています。

この判決が述べるように、同性間でも配偶者として法的な関係をつくることは、充実した社会生活を送る基盤となるもので、男女間と同様に十分に尊重されるべきだと思います。法制化に向けた議論が進んで欲しいと思っています。

木下 浩一

司馬遼太郎著『項羽と劉邦』(新潮文庫)を読了。劉邦についてはどのような人物か全く知識が無かったので、三国志演義における劉備のような仁徳の人のイメージでしたが、同書では、周りが何かしてあげたくなるような可愛げがあるものの、粗暴であり、仲間を見捨てて逃げることも一度だけではなく、「有徳人」であることは繰り返し否定されます。他方で、自分の能力の限界をよく認識し、有能な部下に任せ、論功行賞を惜しまないことが、項羽とは対照的に描かれ、勝敗を分ける大きな要因として、「物語」の軸となっています。このような内容から、リーダー論として引用されることも多いですが、豪快に散る項羽、野心と打算に揺れる韓信、理想的官僚を全うする蕭何、屈辱に耐える章邯などの脇役の人物が何より魅力的でした。

工藤 裕之

選挙における民意について、少し考えています。あまりまとまってはいませんが、国政選挙でも地方自治体の選挙でも、例えば、裏金やパワハラが主要な争点の一つになっている場合に、その当事者である候補者が当選したとしても、みそぎが済んだとして、裏金問題やパワハラ問題が最初からあたかも事実として存在しなかったかのように考えるのは大きな間違いです。こうした問題を巡って、ポピュリズムとSNS等の利用についても、改めて考えさせられました。

武田 志穂

現在、城北法律事務所のハラスメント規程の改訂の作業を担当しています。厚生労働省のハラスメント防止規程などを参考にしていますが、「同性に対するセクハラの禁止」「従業員の性的志向や性自認についての無断の漏洩」「部下がハラスメントを受けていることを知りながら上司が黙認すること」などもハラスメントに該当するとする規程が設けられていました。少なくとも、私が弁護士登録した当時は、上記行為がハラスメントである、という理解は得られていなかったように思います。時代が、少しづつではありますが良い方向に進んでいると感じました。

種田 和敏

2025年4月10日までに退所することになりました。2011年12月に弁護士登録をし、翌1月に城北法律事務所入所し、2022年10月から2年間は、事務所の運営責任者(運営委員長)も担いました。この度、運営委員長を退任したタイミングで独立することを決意しました。皆様には、大変お世話になりました。小林先生みたいに死ぬまで城北にいたかったですが、わがままな私には、それは叶いませんでした。じくじたる思いです。が、どこに居ても、引き続き、平和と人権のために、法的困難に立ち向かう方のために、がんばりたいと思います。今後のことについては、またの機会に、ご案内できると思います。

田場 暁生

私は城北法律事務所の憲法委員会で委員長をしています。城北法律事務所では今まで、憲法や平和に関する集会、講演会、映画上映など様々な企画に取り組むとともに、城北地域を中心に改憲問題などについて所員の弁護士が講師活動を行ってきました。城北法律事務所では、憲法問題や大型訴訟に取り組んでいる弁護士が多数在籍しています。事務所として憲法問題など(改憲問題に限らず、夫婦別姓問題なども含む)について講師を派遣しますので、ぜひ事務所までご連絡ください。講師料は応相談です。

なお、私は近時「表現の不自由展からの挑戦 消されたアートと対話する12のヒント」(梨の木社)という本の共同執筆をしました。ご興味ある方はご覧ください。

田村 優介

担当事件が日本経済新聞に掲載されました(2024年9月10日付)。
事件内容は、労働者側代表者として会社と交渉していた従業員が、交渉を疎んだ会社から雇止めされたという案件です。

東京地方裁判所は、雇止めの目的の一つに従業員の排除があった、として雇止めを無効とする判決を出しました。

雇止めについて、会社に対して物申す従業員を排除することが目的の一つであった、と判決の中で明確に認定されたことに大きな意義がある事件です。

さらに、記事掲載時はこの事件は高裁に控訴中だったのですが、高裁ではさらに良い判決が出ました! 当初「2年経過後には正社員にする」との約束があったことに基づき、正社員の地位が認定されました。これもかなり画期的と考えています。

平松 真二郎

ノーベル賞委員会は、2024年10月11日、「日本被団協」に平和賞を授与することを公表しました。被団協は、1956年の結成以来、一貫して被爆の実相を訴え、核兵器の廃絶を求めて活動してきました。この間、1996年7月8日に、国際司法裁判所が、「核兵器の使用と威嚇は一般的に国際法に違反する。」旨の勧告的意見を示した際にも大きな役割を果たし、2017年7月7日、国連総会が核兵器禁止条約を可決した際にも、被団協が届けた被爆の実相の訴えが国際世論を動かす力となってきました。

唯一の戦争被爆国である日本政府は、被団協のノーベル平和賞受賞に込められた平和と核廃絶を希求するメッセージに真摯に向き合い、「核なき世界」の実現に向けて積極的に行動しなければならないと思います。

松田 耕平

TLL(テレビレスライフ)

引っ越しました。引っ越すにあたってテレビを捨てました。テレビ無しの生活(TLL:Tv Less Life)の始まりです。しかし私は生粋のお笑い好き。毎週15くらいのお笑い番組を録画して、睡眠時間を削ってでも観ていました。しかし、テレビを失った現在はお笑い番組を観ることもなく、コーヒーを飲みながらゆっくり読書なんぞを…と思っていましたが、それは無理でした。ネット環境は充実しており、音楽は聴けるので、レゲエやHipHopをかけながらノリノリで過ごしていますYo! そしてお笑い番組もネットで観れますYo!! 

結果、生活はほとんど変わっていません。。。むしろ家の中ではよりアクティブになったかも。引っ越しをきっかけに高尚な人間になる…そんな目論見ははかなくも夢と消えました。俗なワタクシですが、今年もよろしくお願いいたします。

湯山 花苗

家族旅行で那須にいきました。

1日目は、雨のなか、那須どうぶつ王国へ。子どもたちは、長靴にレインコートを着てびしょびしょになるのを楽しんでいました。

2日目は、那須ハイランドパークへ。息子は、一昨年は身長制限で乗れなかったアトラクションにチャレンジできてご満悦でした。娘は観覧車がお気に入りでした。

3日目は、那須サファリパークへ。息子はエサを求めてくる動物に大興奮。娘は恐怖で大号泣。車内は混乱を極めました。

あっという間に大きくなっていく子どもたち。一緒に過ごせる時間を、もっと作っていきたいと思います。