城北法律事務所 ニュースNo.91 2025新年号(2025.1.1)

諦めないことの大切さ
~「虎に翼」に力をもらって~

弁護士 加藤  幸

2024年4月から9月にかけて放送された、連続テレビ小説「虎に翼」をご覧になりましたか?

主人公寅子の「はて?」が社会現象になり、放送終了後には「虎に翼ロス」現象が起こるほどの評判でした。私自身も、毎回欠かさず楽しみに観ていました。

性別による社会的・経済的格差の問題、夫婦別姓制度、LGBTQへの差別、相続制度、少年法の厳罰化、外国籍の人への差別など、現在の社会問題を「これでもか!」というほどに盛り込んだドラマでした。しかし、それでいて結論を押しつけるわけではなく、ふと立ち止まって自分の身近にある問題を考えるきっかけを視聴者に投げかける、素敵なドラマだったと感じています。

寅子を初めとする登場人物も魅力的でした。どの人物も、多様な表情を持ち、社会的に期待される役割や、思い通りにならない現実に悩みながら生きている人たちでした。

私のお気に入りは、家庭裁判所設立に尽力した「多岐川幸四郎」。滝藤賢一さんが演じていた、熱い熱い人物です。彼は、家庭裁判所を「愛の裁判所」と呼び、戦災孤児の更生に奔走し、病床に伏せた後も亡くなる間際まで少年法の厳罰化反対を訴えます。こんな情熱と温かさを持った裁判官が今もいるのだろうか? いや、いて欲しい! いると信じたい! と胸を熱くして応援していました。

いまだに、虎に翼で取り上げられた社会問題が解決したとはいえない状況ですが、同性婚制度については、2019年2月14日に「結婚の自由をすべての人に」訴訟が提訴され、昨年3月の札幌高裁に続き、10月30日に東京高裁でも「同性婚を認めないのは違憲である」との判断が出るなど前進しています。同性カップルに対する社会の認識も変化しており、同性婚を法的に認めるべき時期に来ていると思います。

また、婚姻制度に関するもう一つの大きな問題、選択的夫婦別姓制度についても、野党だけでなく、経団連や自民党の一部議員も導入を求めるなど、議論が動きつつあります。先進国の中で選択的夫婦別姓制度を認めていないのは日本だけで、国連の女性差別撤廃委員会からは4度も制度改善の勧告が出されています。選択的夫婦別姓制度についても認める時期に来ているのではないでしょうか。

「おかしいと声を上げた人の声は決して消えない。その声がいつか誰かの力になる日がきっと来る。」という寅子の言葉どおり、「おかしい」と上げた声は、例えその時はかき消されたとしても、無かったことにはなりません。小さな声でも諦めずに声をあげていく、それがいつか大きな声となり社会を変えていくと信じています。

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