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城北法律事務所 ニュース No.53(2006.1.1) | 城北法律事務所

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城北法律事務所 ニュース No.53(2006.1.1)

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身近なところから憲法9条を語ろう
憲法9条はみんなの宝物

弁護士 深山 麻美子

我が息子も5歳。もちろんアニメ大好きである。サザエさん(由緒正しい日本庶民の語彙を獲得するには最適の番組)やクレヨンしんちゃんをこよなく愛する反面、戦いものも結構好きである。ほのぼの系のアンパンマンとて戦いのシーンが必ずあるし、子供に大人気のムシキングも虫どおしがバトルする。
それはいいとして、最近某コンビニに、戦車や戦闘機等のフィギュアがたくさん売られているのには閉口する。子供向けのおもちゃコーナーに何故こんなものを陳列するのか!鈍い頭で、そのきな臭い陰謀に思いが至る前に、子供は、戦いものであること、乗り物であることを素早く察知し、「カッコイー」と絶叫し、買ってくれ攻撃を始める。途中経過は省くが、結局、買ってしまっていた。
そのような中、我が事務所の40周年記念集会で小森先生の講演や、有原さんらの報告を聞き、大変感銘をうけた。中でも、有原さんの、昨今漫画やアニメを駆使して自衛隊を子供たちに浸透させているとの報告を聞いたときは愕然とした、あのコンビニの戦車や戦闘機のフィギュアの狙いはまさにこれだったのだ。いや、実は私はその狙いに半ば気がついていた。気がついていたのに、幼いからまだ言ってもわからない、男の子だから戦いものが好きでも仕方ない、と自分に言い訳し、買うことでこの件は一件落着としてしまっていたのだ。要するに面倒くさがって、自分の子が、じわじわと巧みに洗脳されているのを放置していたのだ。
集会のあとの打ち上げ会で、小森先生と少しだけ話をする機会を得た。その際、権力が巧みに言葉を操作して憲法9条をなし崩しにしようとしている状況に対して、自分たちはどのような言葉を使って対抗していったらいいのか、と聞いた。先生は即座に、「憲法9条について、自分の頭で考えた言葉で話すこと。どんなに巧みにテクニックを使った言葉も、自分の頭で考えた言葉には勝てない。また、遠くの人に向かって語るのではなく、まず自分の身近な人に対して憲法9条について語ること」といったアドバイスをいただいた。
猛省しきりであった。
憲法9条はみんなの宝物である。子供には幼くても、いや幼いからこそ戦争がいかに悲惨なものかを伝えたい。親や兄弟、ママ仲間、保育園、学校、近隣、地域、自分の身近なところから、自分の言葉で平和を語っていきたいと思う。


働くルール"破壊"計画
労働契約に反する逆コースを許さない闘いを

弁護士 田見 高秀

2005年10月から厚生労働省の労働政策審議会に設けられた労働条件分科会で「労働契約法制」についての審議が始まっている。 04年4月から検討を進めていた厚生労働省の「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会」が05年9月15日に最終報告書を出し、そこで「今日、就業形態や就業意識の多様化が進んでいる一方、現行の法律や判例法理による労働契約に関するルールについては(中略)変化に充分対応できていない」としたのを受けての審議開始で、06年7月に中間まとめを出し、2007年通常国会に法案を提出するとしているが、この研究会最終報告には、働くルールの破壊計画ともいうべき大変な内容が盛り込まれている。
報告で取り上げられている問題点は、次の五つがある。第1.雇用継続型契約変更制度。第2.解雇の金銭解決制度。第3.労使委員会制度。第4.試行雇用契約。第5.ホワイトカラー・エグゼンプション。
全部に触れられないので、第5のホワイトカラー・エグゼンプションを紹介する。
エグゼンプションとは適用除外の意味で、事務系の労働者・管理職について、ほぼ全面的に労働基準法による労働時間規制の対象外にしようという、とんでもない制度の導入のこと。何時間働いても時間外はなし、サービス残業の合法化である。 実は、05年6月に、日本経団連は「ホワイトカラー・エグゼンプションに関する提言」を公表した。そこでは「ホワイトカラーは、『考えること』が一つの重要な仕事であり、職場にいる時間以外でも、自宅にいるときや通勤途上でも、仕事のことに思いをめぐらすことは珍しいことではない。
労働時間と非労働時間の境界は、ホワイトカラー、その中でもとりわけ知的労働者層においては、曖昧である」とか、管理職層について「経済のグローバル化や24時間化が一層の進展を見せる中で、海外とのやりとりをはじめとして、重要な職務や責任を有するこれら管理監督者が深夜に活動しなければならない状況は数多く想定される。深夜における管理監督者の時間管理は必要でない」とある。
まさに、企業の利益に必要である以上、24時間働きなさい、という姿勢が丸出しである。
労働契約の内容は、労働者の働く権利や健康を守り、これに反する使用者の行動を規制するものでなければならないのに、研究会報告の内容はまったく逆方向である。
2006年は、この逆コースを許さない闘いが重要となる。


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