中国に行ってきました。
~中国遺棄化学兵器敦化訴訟~
弁護士 平松真二郎
裁判員制度が開始された5月21日、東京地方裁判所において、私がこの間関わってきたライブドア本体や元役員(堀江、宮内ら)、監査役、監査法人等を相手にした裁判(請求金額約230億円、原告数3341名)の判決が言い渡されました。
提訴して3年後に言い渡された判決は、被告にした2法人と24個人中1個人を除く被告の責任を認めたものでしたが、損害金として認められたものは請求金額のおよそ3分の1にあたる約76億円という「一部勝訴」でした。
提訴当初は、個人投資家の「自己責任」論などが言われておりましたが、この3年間の裁判をたたかう中で、ライブドア以外の少なくない会社でコンプライアンス(法令遵守)や企業モラルが欠如していることが明らかになりました。
過去このような事件については、請求自体が認められることはほとんどないという状況でしたが、金融商品取引法が立法化され、また民事訴訟法が改正されたことを受け、近時は本件のような証券被害について、原告勝訴の判決が出されるようになってきており、「時代の流れ」を感じてしまいます。
今回の判決もそのような流れの中の判決といえますが、原告の方々の被害額との比較で言えば、一部勝訴であっても被害の回復には到底及ばない納得できない判決といわざるを得ません。
また、今回の判決では、結局のところ、堀江らの「やり得」を許容するものとなっており、その点からも認めがたいものです。
今現在も証券被害に関する判例が大きく揺れ動いている状況にあり(最高裁で明確な基準が示されていない)、今後、違法行為による「やり得」を絶対に許さないという裁判の流れを強める闘いが重要になります。
ライブドア株主被害集団訴訟
弁護士 大川原 栄
昨年10月22日、練馬区光が丘第八保育園の民間委託に関し東京高等裁判所の判決言渡しがありました。
私たちは、東京地方裁判所の判決を不服として控訴し、専門家の方をはじめ多くの方の力をお借りしながら、練馬区では経済的な観点からみても本件民間委託を行う必要性はなく、むしろ経済的効果が発揮できていないこと、民間委託により構造的な混乱を生じさせ、保育の質を低下させてしまったこと、これは区長による裁量権の逸脱・濫用であると主張してきました。
しかし、残念ながら控訴棄却となり、判決にはさまざまな問題点があり、特に「保育の質」に関しては、保育基準の切り下げを容認しかねない内容です。垣内国光先生が意見書で指摘された児童福祉施設最低基準4条2項(「(保育園等が)最低基準を理由として、その設備又は運営を低下させてはならない」との規定)について、努力目標を定めたものにすぎないために、これに違反しても裁量権逸脱にはならないと示したのです。
この裁判の結論は、残念なものでしたが、この裁判を通して多くの成果を得ることもできました。今日、待機児対策として、基準の見直しなどが議論されていますが、この裁判で得られた成果を使用し、引き続きよりよい保育のため、運動を続けていきたいと思います。
B型肝炎問題の全面解決を!
-舛添厚労大臣がもと原告に謝罪-
弁護士 小沢年樹
【予防接種の注射器使いまわし被害】
成人後のウイルス感染の場合は、ほとんどの人が短期間に治癒しますが、乳幼児期にB型肝炎ウイルスに感染すると持続性感染となり、キャリアとしてウイルスと生涯付き合わなければなりません。さらに、慢性肝炎を発症したり、肝硬変や肝臓ガンにまで病気が進行することもあります。こうした乳幼児期の感染は、出産時の母子感染が原因であるといわれてきましたが、母親がウイルスのキャリアでない場合には、就学前の集団予防接種における注射針・注射器の「使いまわし」による感染だったことが判明しています。
【最高裁判決と舛添大臣の謝罪】
集団予防接種の安全対策を怠った国の責任を追及するB型肝炎北海道訴訟では、3年前に最高裁の勝訴判決が出ましたが、これまで厚労省は「原告5人だけの問題にすぎない」として、予防接種によるその他多くのB型肝炎被害者の救済を全く無視してきました。ところが、さる6月16日、とうとう舛添厚労大臣がもと原告らと面会し、予防接種についての国の責任を認めて正式に謝罪しました。そして、ウイルス性肝炎患者全体の医療支援を含む制度改善などの努力を約束したのです。
【全面解決を目指して】
しかしながら、予防接種によるB型肝炎被害者は、最高裁判決の5人だけにとどまらず、多くの被害者に対して一般的な医療支援にとどまらない国の責任を踏まえた救済措置が必要です。現在、全国の裁判所であらたな訴訟が提起され、300人以上の原告が被害救済を求めています。国民病といわれるB型肝炎問題の全面解決をめざして、原告団・弁護団は奮闘しています。 あるマンションにおいて、区分所有者が滞納していたマンション管理費500万円余りを回収した事件がありました。
マンション管理組合は、長期間かかる裁判をせねばならないのではないかと二の足を踏んでいるうちに、滞納額が多額になってしまったのです。
区分所有法の第7条によれば、管理組合には、滞納者が所有するマンション建物と敷地または建物内の家財等の動産について、先取特権が認められます。通常の民事裁判や判決を経ずに、マンション建物と敷地について強制執行を申し立てることができるのです。
強制執行は、不動産の競売と収益執行の方法があります。収益執行は、当該不動産が賃貸物件などの場合、裁判所が指定する管理人に不動産の管理を移し、賃料収入を債権の弁済にあてます。
私が担当した件は、賃貸物件でしたので収益執行を選択し、賃料収入が高かったこともあって早期に全額回収することができました。