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城北法律事務所 ニュース No.60(2009.8.1) | 城北法律事務所

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城北法律事務所 ニュース No.60(2009.8.1)

城北法律事務所 ニュース No.60(2009.8.1)

<法律相談>

交通事故に遭ってしまいました

Q 先日、自動車を運転していて交差点に差しかかったとき、右側から自動車が突っ込んできて追突されてしまいました。
私は命に別状はなかったものの、骨折や打撲で1か月入院しました。退院後も1年ほど通院をしましたが、右足首が曲がらなくなる障害が残ってしまいました。また、私は自営で商売を営んでいますが、事故後は数か月休まなくてはならなくなりました。自動車の修理費もかかりました。事故の相手方からはまだ何も賠償を受けていないので、損害賠償を請求したいと思うのですが、何についてどの程度請求できるものなのでしょうか?
また、請求するにはどのような方法がありますか?

正当な賠償を受けるためには

弁護士 岡村香里

A 1 交通事故の相手方に請求できる損害には、(1)入通院にかかった治療費、雑費、付添費、交通費、(2)休業損害、(3)後遺症による逸失利益、(4)入通院慰謝料、(5)後遺症慰謝料、(6)自動車の修理費等があります。
(1)入通院にかかった治療費、雑費、付添費、交通費については、支出した金額が損害額となります。
(2)休業損害については、自営業者の場合には、前年の年収から1日あたりの収入を算出して、これに休業日数をかけたものが損害額となります。
(3)後遺症による逸失利益については、後遺症の程度(等級)によって金額の基準が定められていますので、この金額が損害額となるでしょう。あなたの場合は右足首が曲がらないとのことですが、足首が全く曲がらないのか、ある程度までは曲がるのか、その角度によって等級が変わってきます。
(4)入通院慰謝料については、入院・通院の期間によって金額の基準が定められていますので、この金額が損害額となるでしょう。なお、あなたは1年ほど通院したとのことですが、通院の間隔が空いている場合には、通院日数かける3.5が通院期間とされることが多いです。
(5)後遺症慰謝料については、後遺症による逸失利益同様、後遺症の程度(等級)によって金額の基準が定められていますので、この金額が損害額となるでしょう。
(6)自動車の修理費については、かかった実費が損害額となります。なお、修理ができずに廃車にして別の自動車を購入した場合は、別の自動車の購入価格ではなく、事故時点での廃車の価格が損害額となるので注意が必要です。

2 損害賠償の請求は、事故の相手方にするのが原則ですが、相手方が任意保険に入っている場合は、保険会社と交渉して請求するのが通常です。自動車保険には自賠責保険と任意保険がありますが、任意保険の保険会社と交渉する場合は、示談が成立すれば自賠責保険の保険金請求手続も保険会社がしてくれます。
相手方が任意保険に入っていない場合や、支払ってくれない場合には、自賠責保険の保険金請求手続はあなたがすることになります。

3 保険会社に任意保険の保険金を請求する場合には、損害額から、事故におけるあなたの過失割合分を引いたものを請求することになります。過失割合は、事故の態様により基準が定められていますが、細かい態様によって異なってきますので、よく調べましょう。
休業損害、後遺症による逸失利益、入通院慰謝料、後遺症慰謝料については金額の基準が定められていることは先程述べたとおりですが、この基準にも何通りかあり、保険会社から提示してくる金額は低い基準によって算出してあることがほとんどです。正当な賠償を受けるためには、自分でも有利な基準で金額を算出しておくべきでしょう。詳しい算出方法については、弁護士に相談することをお勧めします。


<ニューヨーク便り>

法の国アメリカ

弁護士 田場暁生

ニューヨークに来て1年近くが経ちましたが、この間アメリカはやはり「法の国」だと感じています。私は、埋めようのない貧富の差や覇権的な外交政策など問題山積みのアメリカよりも、日本は進歩的な国になる可能性を強く秘めていると思っていますが(異国の地で「愛国心」がむくむくと・・・?)、まだまだアメリカに学ぶところは大きいです。
実際、日本よりもはるかに数多くの分野に法律家が関与しています。いくつも訪問しましたが、表現の自由擁護、難民支援、ホームレス支援などの非政府組織(NGO)や政府機関で働く弁護士も少なくありません。また、アメリカは歴史の短さを揶揄されることもあります。しかし、カリフォルニア州の裁判例の数だけで日本全体のそれの合計数を上回るという統計もあるほど、憲法を頂点とした近代国家の基礎的な要素としての「法」を体現し、充実した法の歴史を持っている国は他にはないでしょう。「訴訟社会」といわれ、その弊害も語られることがありますが、法や裁判という透明性のある形で社会のルールを形成しようとその歴史の大半を費やしてきたアメリカに、法律家として学ぶことは多い、改めてそう感じます。
ところで、この8月から首都ワシントンDCのロースクールに入学して、表現の自由をはじめとした憲法などを学ぶ予定です。「法の国」であるアメリカの中でも、DCは特に住民の14人に1人が法律家(このデータほんまかいなと思いますが)といわれる街。多様性溢れるニューヨークを離れるのは後ろ髪を引かれる思いですが、世界の法律家とどのような議論ができるのか、今から楽しみです。
皆様には引き続きご迷惑をおかけいたしますが、引き出しを満杯にして日本に帰国し、業務に活かしたいと思っております。近日、当事務所のホームページで、「弁護士田場暁生のアメリカ日記」(仮題)連載を開始します。ご笑覧いただけると幸いです。


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